<安保法制>ガイドライン再改定で日米同盟はどう変わる?
中国や韓国の反応は
「指針」の改定によって、切れ目のない対応ができるようになり、自衛隊の機動性は高まること、自衛隊の活動範囲が「周辺事態」に限られなくなり、地球規模での活動が強化されることはすでに指摘しましたが、一方、米国にとっても日本の法整備と新「指針」は重要な意味合いがあります。 形式的にはともかく、実質的には日本が米国に一方的に依存していた安保条約体制において日本が米国に協力する範囲が拡大し、いわば日米安保体制の相互性が高まります。日米両国はグローバルなパートナーとして同盟関係を強化しました。 かねてから地球規模で活動し、重い負担を強いられている米国にとって日本は頼もしい援軍となります。安倍首相が訪米した際にオバマ大統領が見せた笑顔は米国がいかに喜んでいるかを象徴しています。 一方、韓国は警戒しつつも、日本が韓国に対し丁寧な説明を行なったことなどは評価しています。 中国は、今回の「指針」改定が中国を意識したものであることから、事前にしきりに警戒する姿勢を示していました。改定後公式のコメントはありませんが、中国は日本の安保法制と日米同盟の強化を強く警戒しています。中国政府のこのような姿勢を反映してか、中国のメディアには「日本の自衛隊の米軍支援の範囲が大幅に拡大した(環球網5月2日)」「日本の説明は防衛のためであることを強調しているが、行間に「攻め」の殺気が透けて見える(中国新聞網5月5日)」などの記載があります。 (美根慶樹/平和外交研究所)
■美根慶樹(みね・よしき) 平和外交研究所代表。1968年外務省入省。中国関係、北朝鮮関係、国連、軍縮などの分野が多く、在ユーゴスラビア連邦大使、地球環境問題担当大使、アフガニスン支援担当大使、軍縮代表部大使、日朝国交正常化交渉日本政府代表などを務めた。2009年退官。2014年までキヤノングローバル戦略研究所研究主幹