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義務教育 全ての人に 夜間中学 設置へ高まる機運 外国人共生で群馬県 ニーズ調査や視察計画

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上毛新聞

 さまざまな事情で義務教育を受けられなかった人が通う夜間中学について、設置に向けた機運が群馬県内でも徐々に高まってきた。本年度、調査費を予算化した群馬県は新型コロナウイルスの感染状況を見極めながら、ニーズ調査や視察を進める計画だ。夜間中学は全国10都府県に34校あり、関東では群馬、栃木両県だけが未設置。教育支援の関係者からは「外国人や不登校で勉強ができなかった人たちに一日も早く学ぶ場を」と求める声が上がっている。

■高校進学に道■

 夜間中学は戦後の混乱期に義務教育を受けられなかった子どもに対し、夜間に授業を行ったのが始まり。卒業すると中学校の卒業資格が得られ、高校進学の道も開かれる。2010年国勢調査では、義務教育の未修了者は全国で約12万8000人、県内は約2200人。不登校が社会問題化し、外国人住民が増加傾向にある中で、設置の必要性が高まっている。文部科学省も教育機会確保法に基づき、各都道府県に少なくとも1校の設置を促している。

 群馬県がニーズ調査に取り組む背景の一つに、外国人労働者の受け入れを拡大した改正入管難民法の施行(昨年4月)がある。県は外国人住民との新たな共生を議論し、今年1月に多文化共生・共創の「群馬モデル」を公表。教育分野では、外国人の子どもの就学状況の把握に加え、教育機会を提供するために夜間中学などの検討を進めるとする。

 こうした状況の中、夜間中学をテーマにしたドキュメンタリー映画が今年に入って伊勢崎市と大泉町で相次いで上映された。どちらも外国人住民が多い地域だ。民間有志でつくる実行委員会が主催し、夜間中学の卒業生を交えたトークも行った。

■鍵は市町村■

 実行委の代表者で、共愛学園前橋国際大客員教授の奥山龍一さん(65)は「県は設置に前向きな印象を持つが、市町村レベルでも動かないと話は前に進まない」と指摘し、首長らの決断に期待する。

 埼玉県川口市では、昨年4月に夜間中学が開設された。1985年から同市内で民間主体の「自主夜間中学」を開設してきた野川義秋さん(71)は「公立の夜間中学は財源や教職員の確保などの問題で長い間実現しなかった」と説明。その上で、「2017年に市長が設置を決めたことから、全てが動き始めた」と振り返る。

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