「アメトーーク!」放送週2回化で見えた、テレビ界の実は崖っぷちな状況
お笑いコンビ「雨あがり決死隊」がMCを務める人気番組「アメトーーク!」(テレビ朝日系)が、10月から毎週日曜日にも放送されることが発表された。 これにより同番組は、従来の毎週木曜午後11時15分から深夜0時15分の枠と、毎週日曜午後6時57分から午後7時58分の枠の週2回の放送となる。 「かつて、『くりぃむしちゅー』がMCを務めていた『シルシルミシル』(テレビ朝日系)も深夜枠と日曜のゴールデンタイムの週2回の放送でした。前例はあったといえ、ウチにとってそれだけ特別な番組と言えます。このところ“ネタ切れ”ではないかとの指摘もありますが、長年続いている人気番組だけに、それなりに数字が期待できると編成をはじめ、上層部が判断したのでしょう」とは同局の局員。
前向きなようでじつは後ろ向きの戦略!?
視聴率好調の勢いに乗って日曜ゴールデンに殴り込みという観もあるが、芸能評論家の市川大介氏は、意外にも後ろ向きな戦略ではないかと指摘する。 「日曜の午後7時台という激戦区を戦い抜くには新番組で勝負するより、既存の番組である程度数字を確保したいという戦略も見て取れて、守りに入っているイメージもある。昨今のテレビは『新しいことにチャレンジしていない』、『刺激がない』、『マンネリ』など、若い世代に見限られている印象もあるだけに、若い世代を引き戻すくらいの企画力で勝負して欲しいですね」 ちなみに、同番組が進出する日曜のゴールデンタイムの午後7時台といえば、「ザ!鉄腕!!DASH!」(日本テレビ系)や「モヤモヤさまぁーず2」(テレビ東京系)、そして10月から新番組として「クイズ☆スタータレント名鑑」(TBS)、古館伊知郎がMCを務める「フルタチさん」(フジテレビ)が加わるなど、激戦が予想される。
番組のため撮りは今や当たり前 1日で8本分の収録をした番組も!
そんな「アメトーーク!」の現在の収録スタイルは、1日で放送2本分の収録を行う、いわゆる“2本撮り”だ。昼間と深夜に収録を行っているわけだが、枠が一つ増えたということは、その分収録も増えることになる。 同番組の加地倫三ゼネラルプロデューサーは「昼と深夜の空き時間にもう1本撮る」と、冗談まじりに話して笑いを誘ったが、その実、テレビ局や番組制作会社にとっては、できるなら何本でもため撮りしたいというのが本音だという。 「同じ日に2本撮るのと、3本撮るのとでは、出費が全然違う。あらためて別日にスタジオセットを組むだけで、その分のお金がかかってしまうし、カメラマン、照明、音声、美術といった人件費も出ていきます。ですから、低予算の深夜番組を複数本ため撮りすることはよくあることで、あるローカル局では1日で8本分の収録をしたという番組もあるくらいです」(フリーディレクター) ここ数年、広告費が下がり続けているテレビ業界にとっては、少しでも番組制作費を節約しようという姿勢が収録本数を増やしているのが実状だ。