琵琶湖畔に眠るの石垣を求めて 「坂本城跡」周辺を巡る
湖のほとりで、「幻の城」を想像する
織田信長の信頼を得ていた武将、明智光秀(あけちみつひで)のイメージと言えば、1582年の「本能寺の変」を起こしたとされる謀反者ですが、2020年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』で光秀を主役にしたことで脚光を浴び、その人となりが見直されるきっかけにもなりました。そんな光秀が琵琶湖の湖岸に築城し、初代城主となった「坂本城」の跡をバイクで訪れました。 【画像】「幻の城」と呼ばれる「坂本城」があった地を画像で見る(14枚)
「坂本城」が俄かに脚光を浴びたのは、2023年末から2024年2月頃です。雨不足による琵琶湖の水位低下によって、本丸の石垣の一部が出現し、NHKのTV番組でも紹介されていました。有名な城跡考古学者、千田憙博氏が興奮しながら楽しそうにレポートをしていた姿も印象的でした。 いままで光秀は謀反を起こしながらも天下を取れず、羽柴秀吉(はしばひでよし:後の豊臣秀吉)によって命を奪われた、どちらかと言うとマイナスイメージが強いキャラクターとして描かれていた印象ですが、先の大河ドラマや大規模な石垣の出現によって、信長の「安土城」に負けない壮大な城のイメージが浮かび上がりました。
さらに2024年2月、湖岸から少し離れた住宅地から、大量の石垣が発見されたという衝撃的なニュースが駆け巡りました。2月10日、11日には発掘調査現地説明会が開催され、およそ2000人もの参加希望者が訪れたのです。 この石垣が発見されたのは「坂本城」の三の丸に位置すると考えられていますが、いずれは埋められてしまい2度と見られなくなる可能性もあるため、これほどの人が駆け付けたのでしょう。残念ながら説明会には参加できなかったので、当時の報道番組やウェブ記事などで見るしかありませんでしたが、それにしても心踊る城です。 ちなみに、説明会の直後には滋賀県知事や大津市長との議論があり、すぐさま国史跡指定を目指す方向性が発表され、宅地造成工事が廃止されるという異例の展開を見せています。