元宝塚・美弥るりかが放つ個性は 男らしく、女らしくで割り切れない
クールでミステリアスな“美女”のようで、精悍な“青年”、はたまた、どこか危うげな“少年”のようでもある――アーティスト美弥るりかが表現する、もっと自由な美の可能性。 【画像】美弥るりかのクールなカットを写真で堪能!(6カット+1カット) CREA WEBでは、CREA2020年11・12月合併号に掲載中のインタビューの一部を大公開します!
性別“美弥るりか”を個性にする
「性別“美弥るりか”」--男性でも、女性でもない、唯一無二の存在。 その中性的なスタイルが魅力の美弥るりかさんは、理想の男らしさを表現する宝塚歌劇団の男役の中で、あえて“性”を排除し、性別不詳であることが個性となる--そんな逆説的な倒錯美という、新しいジャンルを切り拓いた。しかし、在団中は男役としての自分の在り方に悩み、葛藤していたという。 「もともと宝塚の男役に憧れて入団し、男役としてやってきたものの、私は身長があまり高くなく、線も細かったので、いただける役は中性的なキャラクターが多くて、正直行き詰まりを感じていました。自分が思い描く理想と現実とのギャップに苦しみ、足りないところを補おうと必死でしたね。 でも、星組から月組へ移るとき、これまでの男役像に捉われずに、失敗してもカッコ悪くても、生まれ変わって、挑戦しよう! と思ったんです。女役もやるし、中性的な男役もやる。それを“ひと味違う男役”として、好きだと言ってくださる方もたくさんいらっしゃったので、『私の個性・長所として極めていこう』と、10年目にしてようやく思えるようになりました」
退団を決意するきっかけになった当たり役
「性別“美弥るりか”」を強烈に印象づけたのが『BADDY-悪党は月からやって来る-』(2018)。 男性と女性を行ったり来たりするミステリアスでセクシーなキャラクター、スイートハート役を美弥さんきっての当たり役として愛するファンも多い。 「中性的という個性が私自身に染みついて、無理せず自然体でこの役を演じられるようになったことは、退団を決意するひとつのきっかけになりました」