地方全国リーディング5回の森泰斗騎手が引退会見「今のところ何も決まっていません」
船橋競馬場で29日、この日の船橋競馬をもって現役生活に別れを告げる森泰斗騎手(43=船橋・騎手会所属)の引退記者会見が開かれた。
電撃の引退発表から2週間
11月15日に電撃引退を発表した森騎手。その日のX(旧Twitter)では「森泰斗」がトレンド入りするなど、ファンの間には強い衝撃が走った。地方全国リーディング5回(2015、16、19、20、21年)、南関東リーディング8回(14~16、18~22年)をはじめ、通算重賞勝利数71勝をマークし、今年も28日現在、地方全国リーディングトップをひた走っている名手が全盛期での幕引き。これだけの名手が勝負服を脱ぐには大きな理由があった。
「心が弱ってきた部分を感じた」
「心技体という言葉があると思うんですが、一番は心の分と体の部分が自分の中で衰えてきました。関節が経年劣化で消耗してきているのを年々感じ、けがの影響で右足首とかが思ったように動かなくなりました。寒い時期に膝の痛みが出ることもあり、自分の思うような騎乗ができないことも増えました。2年前ぐらいから感じてきて、関節のすり減った部分は戻らないですからね」と、引退の経緯を説明。さらに心の部分では「数年前、親交のあったジョッキーが落馬事故で乗れなくなり、今年に入り2人のジョッキーの命が失われて、非常に怖い仕事だなと思うようになりました。心が弱ってきた部分を感じました。これが引退理由の大きい部分を占めると思います」と言葉を続け、肉体面と精神面、双方の影響を口にした。 開催日数の多い南関東のトップジョッキーは、休みが極めて少ない。それも長年にわたってトップを走ってきた。このタイミングで引退を決断したことについては「船橋競馬(の開催)で終えるのが一番と思っていました。これから寒くなるので、そうなるとパフォーマンスが低下すると思い、ずるずるやりたくないとここで決めました」。
今後は白紙も競馬には携わる意向
これまでに調教師免許試験を2度受けている。来年1月にも試験が行われるが「今は決まっていません。ゆっくり考えいたいです」と否定も肯定もせず。続けて「解説はどうかという話もいただいていますが、特にこれをやりたいというのは今はなく、ゆっくりのんびり考えさせてください。何かしらの形で競馬には携わりたいですが、今のところ何も決まっていません」と話すにとどめた。今後は白紙で、まずは心身の休息を図る。 「引退する実感がなく、来週も乗るんじゃないかという感じで、今までと変わらない感じ。いいこともたくさんあったはずですが、ネガティブな性格なので、苦しかったことばかりですね」。地方競馬を長年、引っ張ってきた名手の心と体は限界を迎えていた。