【介護のお金】自治体によっては無料「寝具類洗濯乾燥サービス」利用の2つのメリット
人間の体は、加齢に伴い筋力が低下していきます。 筋力が低下すると今まで1人でできていたことができなくなるなど、日常生活に支障が出てくることがあります。 加えて、現代日本は核家族化によって介護が必要となった親と同居する子ども達は減少傾向にあります。 そのため、日常生活に困ったことがあった際に子どもに頼らずに自分たちで対処しなければなりません。 今回は「遠くに住む家族に頼むほどではないけれど気持ち良く睡眠したい」と考えている方にお知らせしたい「寝具類洗濯乾燥サービス」の活用方法とお得なメリットについて紹介します。
「寝具類洗濯乾燥サービス」とは
「寝具類洗濯乾燥サービス」とは、自宅で生活している高齢者等が使用している寝具を洗濯、乾燥、消毒等を行うサービスのことです。 高齢者の中でも介護が必要でベッド上での生活が中心となっている要介護者の場合、寝具の状態を清潔に保つことが生活環境の質の向上に直結していくため重要なことであると言えます。 しかし、加齢や疾病によって筋力が低下してきている高齢者の方の中には、自分が使っている寝具を洗濯したり、干したりすることが難しくなっている方も少なくありません。 そこで、 市町村と契約を交わしている事業所が申し出を受け、寝具のクリーニング等を行い、その費用の一部を市町村が助成するという制度 があります。 この「寝具類洗濯乾燥サービス」の制度は、全国一律の利用条件が整備されている介護保険サービスとは異なります。 事業の名称も実施している市町村等によって異なるため注意が必要です。 また、市町村によってはこの事業自体を実施していないこともあるため、利用を検討する前にお住まいの地域を担当している地域包括支援センターなどに問い合わせてみるとよいことでしょう。
「寝具類洗濯乾燥サービス」利用のメリット
ここからは、「寝具類洗濯乾燥サービス」利用のメリットを解説していきます。 ■メリット1. 皮膚疾患の予防で医療費軽減につながる 高齢者は加齢や疾病により、若者と比較して身体機能が低下していきます。 中でも筋力低下による排泄の失敗が見られる方や寝たきり状態で寝返りが打てない方などは、床ずれなどの皮膚疾患が発生しやすく、体に悪影響を及ぼすことも少なくありません。 それを防ぐには、適切な身体支援を行うことももちろん大切ですが、寝具を清潔に保つことも同じくらい大切です。 寝具が汗や排泄物で汚れてしまっている場合には体の清潔さを保てず、皮膚疾患の発生につながってしまったり、皮膚トラブルを悪化させてしまうことも考えられます。 寝具を清潔に保つためには定期的な洗濯や消毒が必要ですが、寝具の種類によっては家庭用の洗濯機では洗えなかったり、洗濯後に水分を含んだ寝具を自力で干せない場合もあります。 「寝具類洗濯乾燥サービス」を利用すれば専門の業者に寝具を奇麗にしてもらえるため、皮膚疾患の発生・悪化防止になると考えられます。 皮膚疾患の防止ができるということは、医療費の軽減につながるので寝具類洗濯乾燥サービスを利用するメリットと言えます。 ■メリット2. 無料または低価格で利用できる 寝具類の洗濯・乾燥などを行うサービスは、クリーニング店などを中心に一般の人向けにも実施されていますが、その料金は高額です。 たとえば、敷布団と掛布団の洗濯と乾燥を依頼した場合には多くの会社で1万円程するため、依頼するのをためらってしまう人も少なくありません。 しかし、「寝具類洗濯乾燥サービス」はその費用の一部または全額に対して助成されるため、1回当たり数百円~数千円程度、市町村によっては条件に該当すれば無料で寝具の洗濯等をしてもらえます。
居住地での実施状況を調べてみる
人間が1日のうちで睡眠に費やす時間は多く、睡眠を取る際には当然のことながら寝具を使用します。 ベッド上で過ごす時間が多い方にとって、寝具の清潔さを保つことは特に重要であると言えます。 まだ利用したことがないという方は、まずはお住まいの市町村での実施状況を調べてみましょう。 体力的に負担の大きい寝具の洗濯が困難な方で、この事業を活用できる市町村にお住まいの方には、積極的に活用することをおすすめします。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)