「1000万円以下でフェラーリ泥沼生活」夢を叶える入門跳ね馬「308GTBクワトロヴァルヴォレ」とは
1000万円以下で手に入るフェラーリの入門編
クラシックカー/コレクターズカーを取り扱うオークションハウスとしては業界最大手のRMサザビーズ欧州本社によって、さる2022年2月に開かれた「PARIS」オークションでは、2020年6月の「THE EUROPEAN SALE」オークション以来2度目となる「プティジャン・コレクション」セールが中核とされた。 【画像】1000万円以下でフェラーリ泥沼生活を味わえる「308GTBクワトロヴァルヴォレ」を見る(27枚) とくに「ピッコロ・フェラーリの開祖」である「308GTB」とその係累にあたるモデルたちが数多く出品された中、今回は比較的手が届きやすいと認識されている最終型「308GTBクアトロヴァルヴォレ(Quattrovalvole=4バルブ)」のオークション結果についてお話ししたい。
●意外にレア? 308クアトロヴァルヴォレとは? フェラーリ「308GTB/GTS」は、オイルショックと安全対策のためスポーツカーにとっては「冬の時代」と呼ばれた1970年代半ばに誕生しつつも、この種のスーパースポーツとしては空前の大ヒット作となった。 しかし、北米や日本など当時からエミッションコントロール(排気ガス規制)の厳しかったマーケットを見越して、1981年にはウェーバー社製キャブレターから独・ボッシュ社製のKジェトロニック式インジェクションに置き換えた「308GTBi/GTSi」へと進化を遂げるも、インジェクション化と圧縮比の低下によって、スーパーカーにとって重要な課題であるパワーは、キャブレター時代の255psから214ps(本国仕様)までドロップを余儀なくされてしまう。 そこでパワーダウンを補うため、1982年には気筒あたり4バルブのシリンダーヘッドを持つ「308GTB/GTSクワトロヴァルヴォレ」へと最終進化を遂げることになった。 308GTBi/GTSiに搭載された横置きミドシップの3リッターV型8気筒4カムシャフトの「F106B」エンジンは、新設計の気筒あたり4バルブ、総計32バルブのヘッドとした「ティーポF105A」へとリニューアル。最高出力は240ps/7000rpm、最大トルクは26.5kgm/5000rpmまで回復したことによって、キャブレター時代と同等のパフォーマンスを取り戻したばかりでなく、レスポンスや燃焼効率も向上していたという。 ボディはそれまでの308シリーズと同様、タルガトップ・スパイダーの「GTS」とベルリネッタ「GTB」が用意された。 加えて、従来型から設定されていた深いエアダムスカートが標準装備とされたほか、オプションでルーフ直後のリアエアロフォイル、ヴィタローニ社製電動ミラー、スピードライン社製ホイールなどが選択可能とされていた。 308クワトロヴァルヴォレは1985年に後継車「328」シリーズにあとを譲るまでの約4年間で3042台(ほかに諸説あり)が生産されたといわれるが、その大部分は北米マーケットで圧倒的な人気を博したGTSで、クローズドベルリネッタのGTB版は748台が生産されたに過ぎない。これは、希少なことで知られる308GTBヴェトロレズィーナ(712台)と大差のない台数である。