巡礼道間の関係 強固に スペイン・パドロン市と協定、和歌山県新宮市
和歌山県新宮市は、世界遺産に登録されている巡礼道間の交流をさらに発展させたいと、スペイン・ガリシア州にあるパドロン市と交流協定を結んだ。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」登録20周年の節目に、熊野三山がある3市町(新宮、田辺、那智勝浦)とガリシア州にある市との交流協定がそろった形。新宮市は「連携が整い、より強固になった」と話している。 【新宮紀宝道路が開通へ 12月7日、和歌山と三重の県境の記事はこちら】 パドロン市はアロウサ湾に注ぐウリャ川沿いに位置し、人口は8366人(2022年)。観光が主産業で、イエス・キリストの最初の弟子の一人で、スペインの守護聖人である聖ヤコブのさまざまな伝説が残っている。 県とガリシア州は1998年10月、熊野古道とサンティアゴ巡礼道の姉妹道提携を締結。その後、熊野本宮大社がある田辺市が2014年5月にサンティアゴ・デ・コンポステーラ市と観光交流協定を結んだ。 さらに今年1月には、熊野那智大社や那智山青岸渡寺がある那智勝浦町がフィステーラ市と結んだ交流協定が発効。県の働きかけもあって、熊野速玉大社がある新宮市も同市と類似点を持つガリシア州の自治体と協定を結ぶことになった。 新宮市には「川の参詣道」として世界遺産に登録されている熊野川が流れており、パドロン市は聖ヤコブの亡きがらがウリャ川を通ってたどり着いたとされ、ともに川と巡礼が密接に関わっているといった類似点があるという。 交流協定は文化・芸術・青少年交流など幅広い分野の交流を通じて互いの理解と連携を深めるとともに、観光をはじめ人的交流の促進を目指す。今月13日に田岡実千年市長らがパドロン市の市庁舎を訪れ、締結式を開いた。 田岡市長は「川の巡礼道や文化人ゆかりの地など共通点が多い。双方にとって実り多い交流となることを確信している」と意欲を見せた。アンショ・レイ・アルカ市長は「多くの類似点を持つ地域間に友情と理解の架け橋を築くことを目指す」とコメントしており、将来的には新宮市を表敬訪問したいという。
紀伊民報