【コラム】「セクハラ2次加害」をほう助するソウル市
徐正協(ソ・ジョンヒョプ)ソウル市長権限代行は昨年10月の国政監査の際、「同僚として(被害者が)組織に一日も早く戻ってくることができるよう努力したい」と語った。この約束は本心だったのだろうか。 ■2020年世界幸福度ランキングで韓国61位に低下…最も幸せな国は? 韓国警察は12月29日、朴元淳(パク・ウォンスン)元ソウル市長のセクハラ疑惑事件の捜査を終えた。5カ月以上かかったが、新たな事実関係は明らかにできなかった。親与党系のコミュニティーでは「偽のミートゥー(me too)じゃないのか」と被害者を非難する書き込みが相次いでいる。呉成圭(オ・ソンギュ)元ソウル市秘書室長は「『4年の性暴力』という主張の真実性は疑わしい」とコメントした。これに先立ち12月23日には、被害者が秘書として勤務していた際に朴・元市長に送った手紙を、ミン・ギョングク元ソウル市人事企画秘書官が自身のフェイスブック上で公開した。文書がシェアされる過程で被害者の実名がさらされた。漫画家のパク・チェドンは「パパ、4年間セクハラされたというけれどこの手紙は何?」という内容の風刺漫画を京畿新聞に載せた。 随所で「2次加害」だという批判が起きた。複数の女性団体が市庁前で記者会見を開き、市民団体「法治主義立て直し行動連帯」は人権委に陳情を行った。慶煕大学の学生らは「2次加害はなくさなければならない」という声明を出し、オンライン署名を集めた。選挙の際に朴・元市長の陣営で働いていた元関係者8人も「これは違う」として「2次加害に反対する立場文」を発表した。しかし肝心の、被害者が所属するソウル市は動かなかった。攻撃されている同僚を守ってやるどころか、これまで沈黙し続けている。
ソウル市が12月中旬に発表した「ソウル市性差別・セクハラ根絶特別対策」が非常に甘い内容だという事実も確認された。朴・元市長の事件をきっかけとして、特別に委員会を立ち上げて打ち出した対策だ。当時、対策委は「2次被害の定義を拡大し、加害者に対する懲戒規定も明確にし、2次被害の処理手続きをセクハラ・性暴力事件の処理手続きと同様に運用したい」としていた。ところが肝心の朴・元市長の事件被害者に対しては、助けにならなかった。市内部の公務員だけを対象としているからだ。市関係者は「問題になった方々は既に退職していたり外部の人間だったりするので、措置を取る方法がない。代わりに、内部の公務員を対象に案内の公文を送った」と語った。無関係の公務員を締め上げるだけで、実際に目の前で起きている被害は傍観しているのだ。 12月30日、韓国検察による捜査結果の発表で、事件の実体が次第に明らかになりつつある。検察によると、朴・元市長は極端な選択をする前、側近らに「被害者と4月の事件以前にショートメールをやりとりしたことがあるが、問題になる余地がある」という趣旨のことを話していたという。被害者の暴露に信頼性を付与するものだ。にもかかわらず、事件初期に被害者を「被害呼訴人(被害を受けたと訴えている人)」と呼んでいた市は、まだ口を閉ざしている。ソウル市が被害者を、「われわれの懐に戻ってくるべき同僚」ではなく、依然として「被害呼訴人」と見なしているのではないかという疑念が湧く理由はここにある。 チェ・アリ記者