米セントルイス連銀ムサレム総裁、利下げ近いと示唆-リスク均衡で
(ブルームバーグ): 米セントルイス連銀のムサレム総裁は15日、利下げが適切になる時期が近づいているとの見解を示した。
インフレ率は金融当局の目標である2%に向けた軌道に戻り、もはや労働市場はインフレにつながるリスクになっていないと指摘した。
ムサレム総裁はケンタッキー州ルイビルでの講演で、「私の観点からすると、金融当局の二大責務に対するリスクはよりバランスが取れているようだ。従って、今後の会合に向けて、景気に対して緩やかに抑制的な政策への調整が適切となる時期が近づいているのかもしれない」と述べた。
9月17-18日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利下げを支持する意向を一部の当局者が示しているが、ムサレム氏がそれに加わった格好だ。
14日に発表された7月の米消費者物価指数(CPI)では、食品とエネルギーを除いたコア指数の前年同月比の伸びが4カ月連続で鈍化した。
米CPI、コア指数が4カ月連続で減速-9月利下げの論拠を補強 (3)
2日に発表された7月の米雇用統計では、雇用者数の伸びが市場の予想以上に減速。失業率はほぼ3年ぶりの水準に上昇した。積極的な行動を求める声が強まったが、当局はそれには慎重な姿勢を示している。雇用統計の発表直後は9月会合で0.5ポイントの利下げが実施されるとの予想が強まったが、現在は0.25ポイントの利下げが織り込まれている。
米失業率またも上昇、雇用者数は予想以上に減速-9月利下げ固まる (3)
ムサレム氏は労働市場について、ここ数週間で「正常化」したが、依然として「かなり強い」兆候を示しているとみている。そのため、FOMCが利下げを長く待ち過ぎたとは考えていないと述べた。
さらに「利下げが早過ぎたり、多過ぎたりするリスクがある」とし、そのリスクが顕在化した場合の「コストは非常に高くつく」と述べた。
経済見通しについては、健全だと指摘し、年内の成長率は1.5-2%程度になりそうだと語った。「今後数四半期にリセッション(景気後退)に陥ることはないだろう」とも話した。