森泰斗騎手引退会見「下り坂にいる自分を自覚し始めた」/一問一答 <1>
今日29日の騎乗を最後に騎手引退を発表している船橋の森泰斗騎手(43)が同日、騎乗を前に正午から船橋競馬場で引退記者会見を行った。 ■森泰斗騎手一問一答 -引退の理由は 一番の理由は心技体の心の部分と体の部分が自分の中で衰えてきたということ。騎乗回数も10年以上、日本一ぐらいたくさん乗ってきて、関節の消耗も年々、感じていた。けがや手術の影響で右足首が思うように動かない。2年ぐらい前から自分で納得のいかない騎乗が増えてきた。いろいろやったけど、すり減った軟骨などは戻らず、下り坂にいる自分を自覚し始めた。また数年前に親交のあったジョッキーが歩けないような大けがを負ったり、今年に入って2名のジョッキーの命が失われて、以前の僕だったら思わなかったと思うが、非常に怖い仕事だなと思うようになって、心が弱ってきたと感じた。それが引退理由の大きな割合を占めるところ。 -最終騎乗を控えた心境は 昨日まで忙しくて実感がない。今日もこれからフル騎乗。まだ来週からも乗るんじゃないかなみたいな気分で実感がない。今までと変わらない気持ち。 -騎手生活を振り返って いいこともたくさんあったはずだが、性格がネガティブ。苦しかったことばかり覚えている。逆境なども多かったので、よく頑張ってきたなと思う。 -今後の予定は 今のところまったく白紙。ただ曲がりなりにも26年間、初めて馬に乗った時から30年以上、馬と競馬に対する知見は培ってきた。何かしら競馬には携わりたいと思っているが、具体的には何もない。(つづく) ◆森泰斗(もり・たいと)1981年(昭56)1月11日、千葉県生まれ。千葉県騎手会所属。98年4月に足利の佐藤和伸厩舎所属でデビュー。同18日に宇都宮3Rで初騎乗、同20日に宇都宮6Rで初勝利。00年に引退、01年6月に同厩舎所属で再デビュー。北関東の競馬廃止により、05年6月に船橋の松代真厩舎所属で南関東デビュー。15~16、19~21年に全国リーディング、14~16、18~22年に南関東リーディング獲得。地方通算2万8325戦4444勝、中央通算210戦11勝(29日の騎乗前時点)。重賞はヒガシウィルウィンで制した17年東京ダービー(S1)など71勝。