小川紗良「“変わらずに、でも変わり続けている”ハロプロが好き」<「BOOKSTAND.TV」インタビュー>
毎週金曜深夜2:30より、BS12 トゥエルビにて放送中のカルチャー番組「BOOKSTAND.TV」。11月6日(金)深夜の放送では、新進気鋭の女優・小川紗良が登場し、水道橋博士、編集者の原カントくんを相手にお気に入りの本を熱く語り、最新主演映画「ビューティフルドリーマー」の撮影裏話をたっぷりと披露する。番組のナレーションは工藤遥が担当する。 【写真を見る】小川紗良、チェックワンピースで清楚な魅力! 豊富な知識を持つ水道橋博士と原カントくんが毎回“旬な人”や“気になる人”を招き、好きな本などについてじっくりとトークしていく同番組。 今回のゲストである小川は朝ドラ「まんぷく」(2019年、NHK)、「アライブ がん専門医のカルテ」(2020年、フジテレビ系)、などドラマや映画に多数出演しているほか、映像作家としても「最期の星」(2018年)で第40回ぴあフィルムフェスティバルのコンペティション「PFFアワード」に選出されるなど頭角を現している。 そんな彼女は自身の配信番組「小川紗良のさらまわし」(テレ朝動画)のゲストに原を招いたり、博士のメルマガ「水道橋博士のメルマ旬報」内にてエッセイ「凛としていられない!」を毎月連載していたりと、相手役の2人とは「本当にご縁がある」とのこと。 縁の深い3人らしく和気あいあいとした雰囲気で始まった今回のトークの前半では、11月6日(金)に公開する小川の最新主演作「ビューティフルドリーマー」について語られる。 「サマータイムマシン・ブルース」(2005年)、「幕が上がる」(2015年)など、青春映画でも高い評価を受ける本広克行監督がメガホンを取った同作は“映画研究会”を舞台に、映画を撮ったことのない映研部員が“いわくつきの台本”の映画化に臨むというストーリー。 大学時代、実際に映画研究会に所属していた小川のサークルの“伝説の先輩”の話や実験的な撮影手法、本広監督の印象についてトークは盛り上がる。 そして番組後半、小川は作品や自身に影響を与えた本としてアンデルセン「人魚姫」と加納土「沈没家族――子育て、無限大!」(2020年、筑摩書房)を紹介。 幼少期より好きだった「人魚姫」は自身初の長編監督作「海辺の金魚」(2021年公開予定)を作る中でインスピレーションを得た部分が多くあるという。また、90年代半ばにシングルマザーの母が始めた共同保育の試み“沈没家族”を振り返る「沈没家族――子育て、無限大。」からは既存の“家族”の形に縛られない価値観に感銘を受けたと語る。 今回、WEBザテレビジョンは番組収録を終えた小川にインタビューを敢行。収録の感想や主演映画のこと、物作りへの思い、そして大好きなハロー!プロジェクトについて語ってもらった。 ■主演作「ビューティフルドリーマー」は学生時代を追体験しているような感覚 ――番組では小川さん主演作「ビューティフルドリーマー」について語られていました。同映画の役どころを教えてください。 「ビューティフルドリーマー」で演じたのは、大学の映画研究会で映画を撮っている学生で、監督をすることになる女性なんですけど、まさに私自身が映画研究会で映画を撮っていたので、追体験しているような気持ちでした。 キャラクターとしては突拍子もない破天荒な人物で、欲望のおもむくままにやりたいことをやっていくっていう監督で。 特にその感じが出てるのはオーディションのシーンで、升毅さん、秋元才加さんが演じるプロの俳優が出てくるんですけれど、彼らに対して、おじけずに無茶な要求をするんです。むちゃくちゃな人物だけど、でもまっすぐなところが魅力だと思います。 ――撮影はいかがでしたか? 撮影は部室でのシーンが多かったんですけど、現場に初めて入った時、そのセットや美術が“THE・映画研究会の部室”という感じで、ものすごく懐かしさがあって、そこにまず感動しました。映画研究会の部室って、いろんな人が撮影で使った小道具だとかみんなで回し読みしてる漫画とか、「本当に何に使うんだろう」っていう物まで、いろんな物があるんですけど、そのまんまでした。 ■「文化祭の前日感」が今もずっと続いている ――収録で「文化祭が好き」とおっしゃっていましたが、映画研究会では文化祭に参加されましたか? 大学では文化祭にがっつり参加したことはなかったのですが、自分が作った短編映画をサークルのブースで上映していました。高校は文化祭が盛んなところだったので、結構気合入れて取り組んでましたね。クラスで劇を発表したり、部長を務めていたジャズ部で演奏会を開いたり。 ――文化祭で出店を回った思い出などは? 文化祭当日は、友達と出店や出し物を回ったりして楽しいんですけど、あっという間に過ぎた印象です。むしろ、文化祭の前日の方が思い出深いんですよね。「明日が本番で、このひと夏かけてきたものをみんなで出し切ろう」みたいな空気感。 何かに向かうときのわくわく感というか、「文化祭の前日感」のような感覚は今も物作りをする時は常に抱いていると思います。 ■映画の本当の音が楽しめるのは映画館 ――コロナ禍の自粛期間中はどのように過ごされていたのですか? 自粛期間はほとんど家にいたんですけれど、全然映画が見られなくて。家の環境だと、音だとか画面の質も違うし、目に入る物が多くて全然集中できなかったんです。 だから自粛明けに映画館に行ったとき、集中して映画を見る時間は私にとって癒しになっているのだなと感じました。自粛期間を経て、あらためて映画館で映画を観る楽しさを知りました。 中でも一番違う点は「音」だと思っているんです。絵作りももちろんなんですけど、映画を作るとき、基本的に映画館で上映されることを前提に音作りをします。 風の音だとか本をめくる音だとか足音だとか、そういう一つ一つをかなり繊細に、映画館用に作ります。その音って実はDVDとかの音とは違うんですよ。パッケージの音は圧縮されていたりして、構造が全く異なります。映画が伝えようとした本当の音が楽しめるのは映画館だと思います。 ――どのような映画作品がお好きですか? その時々で結構変わります。最近はフランスのエリック・ロメール監督の作品とか台湾ニューシネマとかを映画館でたくさん見ています。自粛明けにいい特集をたくさんやっていて。最近は海外のテーマ性のしっかりとした作品や、ゆったりした豊かな作品を多く見ていますね。 ■“変わらずに変わっている”ハロー!プロジェクトが好き ――小川さんは“ハロプロ好き”でも知られますが、ハロー!プロジェクトのどういう面がお好きですか? 私、モーニング娘。がいわゆる「黄金期」と言われていた頃から大好きだったのですが、その後、中高時代にブランクがあって、20歳を超えてまた戻ってきたんです。戻ってきたとき、“変わらずに、でも変わり続けている”ハロー!プロジェクトというものがありました。 根本の音楽を大切にする気持ちだとか、パフォーマンスに手を抜かない感じだとか、そういうところはずっと継承されてるんですけど、音楽性や振付は、今の時代に合うものにちゃんとアップデートもされている。“変わらずに変わっている”のが一番熱いところなのではないかと思います。 ――ちなみに小川さんの“推し”はどなたですか? 最初の推しは石川梨華さんで、今の推しは牧野真莉愛さん。私はピンクが似合うような、かわいらしい方が好きです。対象となる人は変わっても、キャラクターとして一つ線が見えると思うんですけれど(笑)。 あとは道重さゆみさんも好きです。道重さんは中高時代にハロプロを離れるギリギリ前にも知っていたけど、(大人になってハロプロに気持ちが)戻ってきてからどんどん好きになって…みたいな感じで。今ソロで活躍されているのを応援していますし、大好きですね。 ――ご自身がアイドルになりたいという気持ちはなかったのでしょうか? 小さいときはありました。「なりたい」というよりはもう「なってる」くらいの気持ちで、ごっこ遊びとかしてたんですけど。でも今はステージの上を眺める側にいたいなって。女優や監督として関わっていけたらな、とは思います。 女優業で一度だけアイドル役をやらせていただいたことがありますが、それはすっごく楽しかったですね。「サイレント・ヴォイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻 Season2」(2020年、BSテレ東)っていうドラマで、“多重人格のアイドル”という難しい役でした。アイドルの衣装を着て踊ったりするシーンもあったので疑似体験ができました。女優の立場でアイドルに近づけるとは思っていなかったのですごい嬉しかったですね。 レベルは全然違うと思うんですけど、“最初はリズムをひたすら刻む”とか、ハロプロのやり方を一つ一つ追っていくことでまた違った面からハロプロを好きになれた感じがして楽しかったです。 ■女優、映像作家、執筆――根底にある“物作り”への思い ――女優、映像作家、執筆と多方面で活躍中の小川さん。兼業しているからこそ良かったこと、悪かったことはありますか? メリットとしては、現場で脚本を見た時に、脚本家の意図だとかこのシーンがどういう風に作用しているのかとかが読み取りやすくなった部分はあります。でも逆に、いろんなスタッフさんの動きとか気遣いみたいなものが見えすぎて、逆に邪魔になることもあって。できるだけ切り替えはしっかりしたいなっていうのはありますね。 ――自分の中で、“監督モード”“女優モード”を切り替える「スイッチ」のようなものはありますか? それがまだ自分の中に見つかっていなくて…。マルチタスクが可能な人みたいに思われがちなんですけど、実際はすごく不器用なんです。だからできるだけ並行して仕事を入れないようにはしています。 ただ、今度公開になる「ビューティフルドリーマー」に関しては例外で、自分の監督作「海辺の金魚」の脚本執筆期間と同時期に撮影していたんです。ちょうど“映画作りをしている”っていう役だったので(笑)、問題ありませんでした。 昼間は現場に行って女優として「ビューティフルドリーマー」の撮影をして、夜帰ったら監督として脚本を書く、という生活をしていたのですが、映画作りの日々がそのまま役作りになっていて。監督としての生活のおかげで映画に向かう気持ちをうまく保てたのかなって思います。 ――女優、映像作家、執筆以外にやってみたいことはありますか? 小さい頃から「物作りが好き」っていう気持ちをずっと持っていて、絵本を作ったり、劇を作ったり、とにかくいつも何かを作っていたんです。それがたまたま今は3つに向いているだけなので、これからもその時に作りたいと思った物を作っていけたらいいなって思います。