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今のままではトランプが負けるこれだけの理由

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東洋経済オンライン

 新型コロナウイルスショックから約3カ月が過ぎた。感染者数の増加ペースは鈍り、中央銀行から巨大な流動性の「注射」を受けたNYダウ平均株価は2万4000ドル前後まで戻っている。  だが今後のアメリカ株の見通しは割れている。JPモルガン社のアナリストが「来年前半には、アメリカの株式インデックスは従来の高値を更新するだろう」と強気の宣言。一方、同じタイミングで、ソフトバンクへの投資で話題になったヘッジファンドのポール・シンガー氏は「株はここから安値を更新する」と予言した。

■聞こえてくる「スタグフレーション」の足音  筆者の個人的スタンスは後者のシンガー氏に近い。特に前者の見通しで異論があるのは、もし高値を更新するとしたら、それは来年ではなく今年だろうということだ。  なぜならコロナで実体経済がフリーズしている状態は、実体経済からは遊離し、暗号通貨(クリプトカレンシー)のように「空想のモーメンタムトレード」になっている株式指数には好都合だからだ。逆に経済が動き始め、この膨大な流動性に加速度(ベロシテイ―)がつくと、中央銀行は、今の「何でもあり」の救済政策の継続は不可能になる。

 アメリカのロジスティクス(物流)の現状を見ると、一部ではコロナ感染への恐怖からストライキが起こり(アマゾンなど)、一方で訴訟を恐れる自治体や企業が経済の再開を躊躇するなかで食料品にインフレの足音が聞こえ始めている。  加えて、少し先の問題を指摘しておくと、救済で実は収入が増える可能性が高い低賃金労働者を職場に戻すためには、企業は賃金を上げなければならないことだ。ウォール・ストリート・ジャーナルやニューヨーク・タイムズが報道しているように、いったん救済金が行きわたると、年収4万6000ドル以下の労働者は、このまま手当をもらいながら働かない方が職場に復帰するよりも、収入が増えるという。

 ならば、人々がフル活動にはならないのに、アメリカ経済は、原料高の中で企業が賃金を上げなければならないというスタグフレーションに直面する可能性がある。1970年代後半以降、そんな事態を経験していない金融市場はどうなるだろうか。加えて、来年はコロナの「第2波」の到来を心配するより、もっと確実なことがある。それは、11月3日の大統領選挙で誰が勝っても、米中関係は、米中貿易協議に関するニュースの見出しでアルゴリズムが「楽しげ」にダンスをしていたあの頃には、決して戻らないということだ。

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