イーロン・マスクがロケット打上げ連発の目的「火星移住」は実現するのか そもそもスペースX「3つのスゴさ」とは?
第1段目と第2段目を組み合わせた全長は、121m。人類がこれまでつくってきたロケットのなかで、史上最大のロケットになります。 ファルコンシリーズとは異なる、高性能で革新的なエンジンが、打ち上げロケット「スーパーヘビー」に33基、宇宙船「スターシップ」に6基搭載されています。 スターシップは、アルテミス計画の第3弾で、月を回る軌道から月面に人を運ぶ「月着陸船」として活躍する予定です(地球から月を回る軌道までの往復は、NASAのロケットが担います)。
イーロン・マスク氏は、将来、スターシップを船団のように地球から送り出し、「多くの人を火星に運ぶ宇宙船」としての使い道を構想しています。 大きな期待を背負って、現在、試験飛行が繰り返されています。なかでも、10月13日に行われた試験は大きな話題になりました。 スペースXのロケットには、「再利用する」という共通点があります。荷物を運んで切り離されたあと、地上に帰還する仕組みが備わっているのです。 「ファルコン9」「ファルコンヘビー」には地上に着陸するための脚がついていますが、「スーパーヘビー」には着陸脚はありません。打ち上げ発射台のタワーに取り付けた腕でキャッチして回収する仕組みになっています。
10月13日、スターシップの5回目の試験飛行にて初チャレンジして、まさかの大成功。とんでもない偉業を成し遂げていました。11月20日の6回目の試験飛行では、空中キャッチは行われずにメキシコ湾に着水しましたが、安全面から事前に想定されていたプランの1つでした。 ちなみに、キャッチする腕は、「チョップスティックス」と呼ばれており、映画『ベスト・キッド』で空手の師匠が「箸」でハエを捕まえようとするシーンが由来となっています(師匠は苦労していましたが、スペースXは一発で決めてしまいました)。
スペースXのすごさをあえて3点に凝縮するなら、「やすい」「はやい」「うまい」です。 まずは、「やすい」。 衛星を打ち上げたい顧客からすると、ロケットの打ち上げ費用が圧倒的に安いのです。 数年前の価格でいうと、大型ロケットの打ち上げ費用の相場はざっと「100億円~200億円」くらいでしたが、ファルコン9の打ち上げ費用は「60億円台」。ロケットの価格破壊を起こしたと言われていました(現在の価格は、もう少し上がっています)。