元ホス狂、元トー横の23歳女性「強欲のモメたん」が詩集・写真集を出版 「歌舞伎町の経験生きた」
日本一の歓楽街とされる新宿・歌舞伎町。この地で、ホストにハマる「ホス狂」や路上にたむろする「トー横」を経験した女性が、「強欲のモメたん」(23)だ。OD(市販薬の過剰摂取)やリストカットによる入退院も繰り返すなど、「病みのデパート」状態だった彼女が11月末、詩集と写真集を電子出版した。その半生と作品を世に出した経緯を歌舞伎町で聞いた。(ジャーナリスト・富岡悠希)
●「地雷系メイク」でやってきた
モメたんは12月上旬の取材当日、泣き腫らしたような赤い目元が特徴的な「地雷系メイク」で待ち合わせ場所に登場した。 彼女は10月末からODで今年2回目の入院となり(1回目は夏のリストカット)、11月下旬に退院したばかり。体調が心配だったが、やや肌寒い中でもコートを脱いでの写真撮影に快く応じた。 聞けば、この日も依存症から抜け出すための自助グループの集いに参加したあと、やって来ていた。詩集のプレスリリースでは、彼女のことを精神的に沈んでいる「病み界隈」にも属していると紹介している。 しかし、筆者と向き合った彼女は、快活とまでは言えないが、日常生活を過ごす気力、体力は十分にあるように感じた。とはいえ、インタビュー用に気合を入れてくれた部分もあるだろう。 詩集『刺激中毒』(リブオン)と写真集『わたしの全てにいいねして』(東京ローレライ)は11月30日に同時発売。詩集には20編の詩と、モメたんが得意とするイラスト28枚を収録している。写真集は、歌舞伎町の路上やホテルで撮ったカットに加え、7千字に及ぶロングインタビューが巻末にある。
●「歌舞伎町で学んできたことは無駄じゃない」
詩集の一遍「真実と嘘について」から、一部を引用する。 "グラスに注がれるシャンパンの味はなんだか変な味がしたけれど、そんなのはどうでもよくて、きみの幸せそうな顔が、ぼくを幸福にした。 いま、この幸福に包まれた中で、全てを終わらせたいと思った。" "きみは、ハマったホストAで、「ぼく」はモメたんのことだ。ホストクラブでシャンパンタワーをやった時のことだろうか。お金で買った一時の「幸福」なだけに、そこには儚さがついて回る。" モメたんは詩集と写真集が世に出た感想をこうまとめた。 「ホストに貢いだりODしたりと、世間から否定されることをしてきました。けれども、私は歌舞伎町で学んできたことは無駄じゃないと思っている。二つの作品を出せたのはうれしい」