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14日たち、終了証明書もらう 上海隔離ホテル(3)

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 3月、中国の日系企業で働くため私は上海に来た。地元政府の新型コロナウイルス感染防止対策により、空港からそのままホテルに連れて行かれ、隔離生活を余儀なくされた。消毒液を顔面に浴びせられたり、寒さで眠れず頭痛に悩まされたりしながら、なんとか最終日の14日目を迎えた。(NNA=青山なつこ)  ▽苦楽ともにした“隔離仲間”  隔離最終日、14日目の朝になった。天気は快晴、「ようやく解放される」。起床後すぐに検温すると、36・0度と平熱だった。枕カバーと布団のシーツをベッドからはいで、浴室に放り込んだ。いずれも防護服を着た医師が前夜に部屋を訪れ指示していたことで、てきぱきと済ませた。  身支度を終えたところで、朝食の豆乳と揚げパンがいつもと同じように配られた。もう飽きていたが「これが最後の食事」と思うと、ちゃんと味わって食べようという気になった。不思議とおいしく感じた。  廊下から明るい笑い声が聞こえてきた。隔離されていた6人ほどが部屋から出て井戸端会議をしていた。長い間、自由におしゃべりをできなかったうっぷんを晴らすかのように、しゃべり続けていた。「これからスープのある麺料理を食べたい」という話題などで、どんどん盛り上がっていく。他の人がどのような部屋にいたのか興味がわいたようで、お互いの部屋の見学ツアーが始まった。「こっちは景色がいい」「ソファがあってうらやましい」と、実に楽しそうだ。それぞれの部屋で隔離生活をしていたのに、終わってみるとすっかり苦楽を共にした仲間のようになっていた。

 ▽ネットで自由に交流  隔離生活に入る前は「人と接触できず相当ストレスがたまるかもしれない」と心配していたが、案外そうでもなかった。インターネットのおかげだ。中国のネット規制により米国のグーグルをはじめ海外のサイトの多くは閲覧できないものの、ホテルのネット回線は無料で使うことができた。中国の通信アプリ「微信(ウィーチャット)」を利用し、外部と自由に連絡をとることも可能だった。  日本から上海に到着した日、このホテルに隔離される人同士で情報交換をしようと、空港からホテルに向かうバスの車内で通信アプリのIDを交換しておいた。食事の中身を巡りやりとりすることも多かった。中国人の男性は「今日も炒め物ばかりか。もう飽きちゃったよ」などと感想を伝えてきた。毎回、全部食べ切らずに残してしまうという。この男性は日本で3年働いた後、久しぶりに会う10歳の娘のために日本のカップ麺を5個買ったそうだが「ホテルの食事が口に合わず、空腹に負けて既に2個を自分で食べてしまった」とも言っていた。私は通信アプリを使って毎日、日本の家族とテレビ電話をした。隔離5日目に体調を崩した後は、母が「今日から1日5分、一緒に体操をしよう」と言い出した。固定したスマートフォンの画面には、日本にいる母と祖母の姿。母が音楽をかけながら見せる手本をまねる。ずっと体を動かしていなかったので、気持ちが明るくなった。

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