【秋華賞】デアリングタクトはアーモンドアイ級?本命候補は「先行力」と「持久力」が持ち味のウインマイティー
オークスから直行で三冠達成はアーモンドアイのみ
「ベガはベガでもホクトベガ」という、アナウンサーの名調子をご存知だろうか?これは1993年に二冠馬ベガが、オークスから直行で三冠目(当時は、三冠目が3歳限定のエリザベス女王杯)に挑んで3着に敗れ、伏兵のホクトベガが優勝したことで生まれたもの。 【秋華賞 2020最終予想】デアリングタクトにとって気になるデータあり!本命はこの馬!(SPAIA編) 1996年に創設された第1回の秋華賞では、のちに「女傑」と呼ばれたあのエアグルーヴも、オークス優勝から直行し、10着と馬群に沈んだ。他にも第4回秋華賞では、オークス馬のウメノファイバーがこのレースに直行して4着に敗れている。それらは昔のことと感じるかもしれないが、その後は積極的にトライアルを使われるようになっただけで、決してそうではない。 過去に牝馬三冠を達成した馬は、メジロラモーヌ、スティルインラブ、アパパネ、ジェンティルドンナ、アーモンドアイと5頭いるが、オークスからの直行で三冠馬となったのは、一昨年のアーモンドアイのみ。 2006年に無敗のオークス馬カワカミプリンセスが、オークスからの直行で二冠を達成しているが、それ以上にオークス上位馬がここに直行して敗れている。「デアリングタクトは、アーモンドアイやカワカミプリンセスのように稀有な馬か?」 今年の秋華賞はそこが焦点となるだろう。
能力値1位はデアリングタクト
オークスから直行のデアリングタクトが能力値1位であることを意味するものは、この夏に急成長の強烈な上がり馬が出現しなかったということ。実際にローズS、紫苑Sともに春の実績馬が優勝している。またその両トライアルの決着指数も春を凌駕するようなものではなかった。 そのうえ、阪神JFでデアリングタクトの最高値「-20」の桜花賞と同等の指数を記録し、桜花賞のレース内容も良かったレシステンシアは出走せず、それに準じる強さだったスマイルカナも不在。そういう意味でも、デアリングタクトは運があるのかもしれない。 しかし今回は相手関係が問題なのではなく、デアリングタクト自身が能力を出せるコンディションなのかが最大の焦点となる。カワカミプリンセスやアーモンドアイが秋華賞に出走し、勝利したときと、その次走のエリザベス女王杯1着降着やジャパンC1着時の指数をを比較すると、いずれも秋華賞のほうが低い指数だったことからも、休養明けは少なからずとも減点材料と言える。 そしてもう一つの焦点は、7枠13番を引いたこと。8枠に入った先行馬のウインマリリンやアブレイズが内に切り込んで行くことから、外から2頭目くらいの競馬になることが予想される。今回は何が何でも逃げたい馬が不在で、平均よりも遅いペースが予想される中、外から勝ちに行くのか、それとも控えるのかが注目される。 2枠4番だったオークスでは、五分のスタートを切って前半は好位の内目を狙ったが、1コーナーで少し狭くなって掛かり気味。それをコントロールしながら中団に下げて内目で我慢の競馬に徹した。3~4コーナーで外に出したが、直線では前の馬が下がって進路を失い、仕掛けを待たされたことも、最後の抜群の末脚に繋がった部分も大きい。 このような瞬発力の持ち主は、勝ちに行く競馬をすると最後に伸びないことも多々ある。焦って外から位置を取りに行けば、これまでにない苦しい競馬を強いられて、最後が伸びない危険性も考えられる。また、思い切って位置取りを下げ過ぎた場合には前を捕らえきれず、2着、3着と善戦止まりで終わる危険性もある。