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転機は祖父の遺品整理…クラフトコーラを生んだ「職人魂」【成功のヒミツ失敗しないコツ】

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日刊ゲンダイDIGITAL

【成功のヒミツ失敗しないコツ】  東京の下落合、桜並木が風情を誘う神田川の遊歩道沿いに行列ができる店がある。「世界初のクラフトコーラ専門店」を謳う「伊良コーラ」だ。飲めば「コーラの概念を覆す」とSNSなどでも話題の伊良コーラ。一体どのようなものなのか。 「調合室」と記された工房を併設する店内。注文するとその場でシロップ(コーラの原液)を炭酸水で割ってくれる。炭酸の気泡が爽やかだ。 「伊良コーラは100年以上前のコーラのレシピをもとにしたクラフトコーラなんです」  そう話すのは、伊良コーラの生みの親である「コーラ小林」こと小林隆英さん(30)。コーラ職人として日々クラフトコーラの味を追求する小林さんが、コーラの魅力に取りつかれたのは北海道大学農学部の学生だった頃のことだ。 ■片頭痛にはコーラがいい? 「あまりお酒に強くないので、代わりにコーラを飲むようになりました。持病の片頭痛にコーラに含まれるカフェインがいいと聞いたこともあって、だんだん興味を持つようになったんです。調べてみると19世紀末に薬局で販売したシロップが始まり。つまり薬だったのに、今や世界中で愛されているわけです。なんてロマンあふれる飲み物だろうって思いました」  世界30カ国でコーラを飲み歩くほど夢中になったと話す小林さん。東京大学大学院を経て広告代理店に勤め始めた頃には、自らコーラを作るようになった。 「コーラについて調べていたある日、偶然100年前のレシピを見つけたんです。すごくワクワクしてさっそく作ってみました。ところが、その味には驚きがなかった。ならば、僕が感動を生むコーラを作ろう。そう思って、研究を重ねるようになったんです」  コーラは基本的に、コーラの木の種子に柑橘類や香料などを調合して作る。研究を始めて2年半が過ぎ、諦めようと思うこともあったという。 「転機は祖父の遺品整理を行った時です。和漢方の職人だった祖父の遺品の中には漢方薬に関する資料や道具がありました。コーラはもともと薬です。その資料を見てコーラ作りに生かせるのではないか、と直感したんです」  こうしてたどり着いたコーラは周囲からも大好評。商品としての価値を感じた小林さんは、「より多くの人に飲んでもらいたい」と起業した。店舗があるのは、祖父の工房があった地だ。  さて、その味だ。ゴクリと飲むと、まず爽快感が喉を通り抜けた。それからコーラの風味と柑橘類の清涼感が広がり、シナモンなどのスパイスが深い余韻を生む。さっぱりしているのに、後を引く、リピーターが多いのもうなずける味わいだ。 「コーラのほか、シナモン、ナツメグ、ラベンダーなど12種類以上のスパイスと、レモンライムなどの柑橘類を独自の方法で調合しています。炭酸以外にミルクで割るのもお勧めです」  現在、店とフードトラックに加え、全国約100カ所の商店に卸しているという。しかし、小林さんは満足していない。さらなる高みを目指して味を追求し、新しいフレーバーの研究も重ねる。その職人魂もまた伊良コーラの味わいに深みを生んでいるのだろう。 (取材・文=中川明紀)

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