南海・江本孟紀は20勝できるのか/週べ回顧1972年編
3年前に創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。
あだ名はルパン?
今回は『1972年5月22日号』。定価は100円。 南海・江本孟紀が20勝するのでは、という声が出ていた。 東映に入団し、1勝もできぬまま1年で南海に移籍したが、4月9日現在で2勝2敗、防御率1.44はリーグ1位だった。 江本は前年終盤、敗戦処理ながら南海戦で登板し、野村克也兼任監督の目に留まった。 「ピッチャーの大事な条件は常にバッターに攻撃的な気持ちを持っていることなんですよ。対戦したとき、ああこのピッチャー、使い方によっては面白いぞということを、自分が打っていて思ったわけです」 と野村。その後、東映に移籍話を持ちかけた。 江本は好調の理由について、 「野村監督の指導を受けてから体重がよく乗ってボールが低めに集まるようになった。それ以上にやる気が出たことです」 と話していた。 この男、当時の野球選手らしからぬファッションセンスでも知られ、一度、真っ赤なデニムのズボン(パンツ)をはいてロッカールームに現れたが、これは先輩の反対でお蔵入りにしたらしい。 「あいつはルパンや。やることも漫画的や」 と先輩選手はあきれていた。 <次回に続く> 写真=BBM
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