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『アンタッチャブル』キャリアの再起をかけた3人が邂逅した、ギャング映画の傑作

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CINEMORE

ブライアン・デ・パルマの不遇

 ブライアン・デ・パルマは思い悩んでいた。「あの映画のどこが悪かったのか?」と。1984年に公開された『ボディ・ダブル』は、ヒッチコックを敬愛し、当時は“ヒッチコックの継承者”との異名も持っていたデ・パルマが、『裏窓』(54)や『めまい』(58)の設定を巧妙に引用したサスペンス映画だった。ところが、ポルノ業界を題材にしたこの映画は、酷評され、興行的にも失敗に終わった。  『ボディ・ダブル』の失敗がよほど精神的に響いたのか、ジャンルの異なる作品に挑戦しようと思ったデ・パルマが、次作に選んだのはコメディ映画。しかし、その『ワイズ・ガイ』(86)も評判は良くなかった。二作続けて興行的な失敗をしてしまい、ハリウッドのキャリアで、もはや次はない状態だった彼の元に届いたのは、『危険な情事』(87)の脚本。公開後、社会現象にもなるこの映画のオファーは、千載一遇のチャンスになるはずだった。ところが、脚本に納得のいかないデ・パルマは、なんと演出のオファーを断ってしまうのである。  その24時間後、『危険な情事』のオファーを断られたパラマウント映画から、代案としてデ・パルマに持ちかけられた企画が、実は『アンタッチャブル』(87)だったのだ。もともと「アンタッチャブル」は、ロバート・スタック主演で1959年から約4年にわたって放送されていたテレビシリーズ。パラマウント映画がテレビシリーズの放映権を持っていたため、映画化が進んでいたという企画だった。  1930年代、禁酒法の時代にシカゴで暗躍していた犯罪組織のギャング、アル・カポネ逮捕の実話をベースにした実録活劇で、タイトルは財務省の捜査官だったエリオット・ネスの自伝「アンタッチャブル」を由来としている。それゆえ、同じ原作を基にしている映画版とドラマ版には、近似するような場面もある。  例えば、エリオット・ネスが倉庫を特装車両で急襲する姿は、テレビシリーズにも同じような場面が描かれている。一方で、エリオット・ネスの人物像に関しては、やや異なっているのも特徴。映画化された時代には、自伝がヒロイックに誇張されたものであるとされていたからだ。

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