医療従事者 使命感新たに 土門拳作品「若い看護婦」に感動 安曇野日赤
長野県安曇野市豊科近代美術館で開催中の写真展「土門拳記念館コレクション展 土門拳―肉眼を超えたレンズ―」で、ポスターやチラシなどに使われている作品「若い看護婦」が、安曇野赤十字病院(長野県安曇野市豊科)の中野武院長(67)をはじめ、看護師らスタッフの感動を呼んでいる。土門が昭和13(1938)年に日本赤十字看護婦養成所で撮影したもので、命を救う決意を秘めた「大先輩」のまなざしに、医療従事者としての使命感を新たにしている。 「若い看護婦」は訓練を終え、間もなく戦地に赴く若い看護師の表情をクローズアップで撮影した1枚で、中野院長は「凜とした表情とまなざしが印象的」と話す。写真展を鑑賞して深く心を動かされた中野院長が、美術館に依頼してチラシを譲り受け、日本赤十字本社(東京都)に資料として送ったところ、役員の中でも話題となったという。安曇野日赤の看護師らも「〝大先輩〟の姿に、身が引き締まる思い」などと話し、写真展に足を運んでいる。 昭和12年の開戦から昭和20年の終戦までに、日本赤十字社は955救護班、延べ約3万6000人を国内外に派遣し、多くの殉職者も出た。中野院長は、新型コロナウイルス感染症の拡大や相次ぐ災害、ロシアのウクライナ侵攻など、現在の社会状況が当時に重なるとし、「人の命を救い、尊厳を守り、平和を願う理念は昔も今も変わらない。写真を見て、あらためて心に刻みたい」と話している。 写真展は7月10日まで(月曜休館)。その後、福岡、島根、愛媛県を巡回する。