まさかの指名漏れから球界を代表する存在になった選手とは
ドラフト会議には、各チームが事前に戦略を練って挑むが、他チームの指名状況によって当日方針を変えることも多い。そのため、指名される可能性が高いと目された選手が、指名されないまま終わることがこれまでに何度も起こった。そうした「指名漏れ」は言ってみればチームからの評価が低いために起こるため、選手にとっては屈辱であり、大きな挫折を味わうことになる。しかし、その挫折をばねに研さんを積み、何年か後にドラフト指名を勝ち取った選手もいる。今回は、そうした指名漏れを乗り越えてプロ入りを果たし、球界を代表する存在になった2人の選手を紹介する。 「球界の寝業師」――ドラフトで表に出ることのない“影の主役たち”
指名漏れから球界屈指のクローザーへ
現役のNPB選手では、やはりDeNAの山崎康晃が挙げられる。帝京高時代の山崎は、140キロ台の速球を武器とする本格派で、チームの中継ぎとして活躍。帝京高を甲子園へ導く原動力となった。プロからも注目される存在だった山崎はプロ志望届を提出。しかし、2010年のドラフト会議ではどこからも指名されることはなかった。 その後、高校時代のプレーを高く評価していた亜大から声がかかり、山崎は大学に進学。そこでメキメキと頭角を現し、大学野球で際立った成績を残すようになる。当時、亜大の2年先輩に東浜巨(現ソフトバンク)がおり、東浜との出会いも山崎を大きく成長させるきっかけとなった。 大学での活躍を受け、一躍ドラフトの注目選手となった山崎は、失意の指名漏れから4年後の2014年ドラフトでDeNAと阪神から1位指名を受ける。クジ引きの結果、交渉権はDeNAが獲得し、山崎は見事にプロの世界に足を踏み入れることとなった。 念願のプロ入りを果たした山崎は、オープン戦で好投したことで1年目から一軍入り。抑え投手の故障を理由にいきなりクローザーを任されると、新人最多となる37セーブを記録した。この活躍で山崎は新人王を受賞。チームの守護神に定着し、2018年、2019年は最多セーブのタイトルを獲得するなど、球界を代表するピッチャーへと成長した。今シーズンは調子を落としているが、復活を期待したいところだ。