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コロナ対策で移動手段は公共交通機関から自転車へシフト

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ニューズウィーク日本版

──運動不足解消&公共交通機関避け、自転車が人気に

英国のボリス・ジョンソン首相は10日(現地時間)、外出禁止令をさらに6月1日まで延長し、その後は条件が満たされれば段階的に緩和していくと発表した。国民に向けたこの演説の中で同首相は、建設業や製造業など、自宅での勤務が難しい人の場合は出勤を奨励するとした。ただしその際は、「可能であれば公共交通機関は使わず、車や徒歩、自転車で移動してほしい」と訴えた。 ● 動画:コロナで自転車がブーム 英政府はこれまでも、新型コロナウイルス感染症拡大の予防策として、公共交通機関はできれば使わないよう国民に呼びかけていた。こうしたこともあり、移動手段として、自転車が注目を集めている。 英国では、3月23日に外出禁止令が発表されてロックダウン状態になって以降、「1種類のエクササイズ」での外出は許可されており、これには自転車が含まれている。そのため、ロックダウン中の運動不足解消に、自転車を始める人が増えているという。 グラント・シャップス運輸相は9日に首相官邸で、国内の道路インフラを歩行者と自転車用に合ったものに整備しなおすために20億ポンド(約2657億円)を投じる計画を発表したが、その際にも、生活必需品の調達やエクササイズなどで、ロックダウン中は自転車人口が70%増加した地域もあったと述べた。 英公共放送BBCも、自転車の売り上げが全国的に伸びている他、物置にしまってあった自転車を引っ張り出してきた人からの修理の依頼も増えていると報じた。 ■ 「自転車通勤スキーム」の利用が急増 英国ではこれまでも、自転車通勤を促す政策として、「自転車通勤スキーム」が実施され、活用されてきた。会社員が勤務先を通じて自転車やアクセサリーを注文すると、代金は給料から毎月天引きされていき、その分は所得税が控除される。最終的には25%以上割安で自転車が手に入るという仕組みだ。 この自転車通勤スキームは当初、公共交通機関の混雑緩和や自動車による温室効果ガス排出の削減を目指すものだったが、コロナ対策の通勤手段としても活用されているようだ。 BBCによると現在、医療機関で働く人たち(外出禁止令中も出勤する人たち)から「自転車通勤スキーム」の申し込みが殺到しており、自転車の注文件数は200%増になっているという。 外出規制が緩和されて人が移動を始めた場合の公共交通機関のあり方について、懸念を示す声は多い。ロンドンのサディク・カーン市長は6日、市内の公共交通機関で対人距離を確保した場合、かつての規模で人の輸送を実現することはできない、と自身のFacebookに投稿した。 また同市長は公式ウェブサイトで、市内の公共交通機関の輸送力はコロナ危機前と比べわずか20%になる見込みであるため、市民には公共交通機関以外の手段で移動してもらう必要があると説明した。そのためロンドンでは、仮設資材を活用するなどして自転車レーンを早急に敷設したり、繁華街の歩道を拡充したりするなど、道路インフラを刷新する計画を立てている。 ロンドン交通局は、これらが実現した場合、コロナ危機前と比べ、自転車の利用者は10倍、徒歩は5倍に達すると予測しているという。 ■ 自転車の黄金期到来? 9日の記者説明会でシャップス運輸相は、交通機関の運行が通常通りに戻ったとしても、2メートルの対人距離を確保した場合、国内の公共交通網の多くで、コロナ危機前と比べて10%の輸送力しか保てないと述べた。 前述した20億ポンドの計画は、こうした問題を解決するためだ。シャップス運輸相は、自転車での移動を英国の交通政策の中心とし、国内の交通網を自転車通勤や徒歩通勤に備えるとした。 計画の詳細は6月上旬に発表されるとのことだが、まずは第一弾として、2億5000万ポンド(約332億円)をかけて、「ポップアップ自転車レーン」(自動車レーンを一時的に自転車用に変えたもの)や歩行者レーンを作り、自転車や歩行者の安全を確保するという。 シャップス運輸相はさらに、心身の健康を促進するという視点からも自転車や徒歩での移動には利点があるとし、国民保健サービス(NHS)への負担も軽減されると説明。また、自転車や徒歩で移動することにより、買い物をする人や飲食店に立ち寄る人が増えるため、小売店や経済全体にも利点があるとの見方を示した。 ボリス首相は6日の首相答弁で、公共交通機関以外の交通手段に向けてさまざまな施策が計画されていることについて、「サイクリングにとって新たな黄金期の到来となるはずだ」と、自転車愛好家らしい言葉で表現した。

松丸さとみ

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