トランプから逃げろ! イタリアの過疎化する村に移住を検討する米国人たち
ドナルド・トランプ政権から逃れようとする米国人たちが、世界の長寿地域「ブルーゾーン」の一つでもあるイタリア・サルデーニャ島への移住を真剣に考えているという。 【画像】ターコイズブルーの海が広がるサルデーニャ島 英「ガーディアン」紙によれば、過疎化が進む同島の村オッロライでは、以前からその対策として1ユーロ(約162円)という破格の値段で米国人向けに家を貸し出すプログラムを実施してきた。だが、11月初めにおこなわれた米大統領選挙の結果を絶好のチャンスとみた村長のフランチェスコ・コロンブは、新たにウェブサイトを作成。主に米国人を対象に、さらに多くの家を売り出すことにしたのだ。そこでは「サルデーニャの素晴らしい楽園でのヨーロッパ移住計画」を始めようと謳っている。 コロンブによれば、わずか1日で「3万件の問い合わせと、サイトには15万6000以上の訪問」があったという。このプロジェクトでは、米国籍の人以外も受け付けているが、米国からの申請が優先的に処理されると、コロンブはガーディアンに説明している。 オッロライは、サルデーニャ島バルバジア地方の山岳地帯に位置し、人口はわずか1150人ほどの小さな村だ。同紙によれば、オッロライでは2018年に、初めて老朽化した家を1ユーロで販売したという。このプロジェクトでは多くの買い手を惹きつけた。購入者は家の改修に何千ユーロも費やしたが、結局、通年で居住する者はほとんどいなかった。 その一方で、デジタルノマドを誘致するプロジェクト「Work from Ollolai」は、「移住」という点では成功したようだ。2023年にはデジタルノマドの米国人10人が村に移住し、月額わずか1ユーロの家賃を支払った。この際も米国人が対象となった理由の一つは、オッロライがアーノルド・シュワルツェネッガーの親友の出生地だったから、というものだった。 コロンブは、今回の新しい住民募集がリモートワーク可能な人々をさらに呼び込むことを期待している。彼は、ガーディアンにこう話している。 「この取り組みの目的は、町を活性化し、住民の生活を向上させることです。私たちの村は過疎化が進んでおり、将来に投資する必要があります。このような取り組みだけで問題を解決することはできませんが、少なくとも多少の活動を生み出しているのです」 実際に、米「ニューヨーク・タイムズ」紙によれば、トランプ政権第2期の確定直後には、「best countries to move to(移住するのに最適な国)」「how to move to Canada(カナダへ移住するには)」といった検索ワードがグーグルで急上昇したという。国外脱出を図る米国人たちが、過疎化が進む世界の村を救うかも──しれない。
COURRiER Japon