自然吸気V12でル・マン24時間レース参戦! 英アストン マーティン「ヴァルキリー」テスト開始
66年ぶりの総合優勝を目指して
自然吸気の6.5L V12エンジンを搭載するル・マン・ハイパーカー(LMH)の姿が初公開された。24時間耐久レースで1959年以来の "完全制覇" を目指している。 【写真】アストン マーティンの新型ハイパーカー、ル・マン参戦へ【ヴァルキリーAMR-LMHを市販バージョンのAMRプロと写真で比較】 (22枚) 英国の自動車メーカーであるアストン マーティンは7月22日、新型「ヴァルキリーAMR-LMH」が2025年の世界耐久選手権(WEC)に向けてテスト走行を開始したことを発表した。 アストン マーティンは以前、ル・マンに6台のヴァルキリーをエントリーさせ、優勝の可能性を最大限に高めるとしていた。 当初は2019年にル・マン参戦を表明していたが、その後、計画は白紙に戻された。同社のローレンス・ストロール会長が再びその可能性を示唆したのは2022年のことだった。 ストロール会長はAUTOCARの取材で、「わたし自身もレーサーだ。ずっとそうだった。レースはわたしの血の中にあるもので、だからわたしはここにいる。アストン マーティンが伝えようとしているメッセージに沿ったカテゴリーでレースをするべきだ」と述べた。 ヴァルキリーAMR-LMHは、現在スポーツカーレースのGT3クラスに参戦している米国のスポーツカーチーム、ハート・オブ・レーシング(Hart of Racing)とパートナーシップを結んで走る。 既存の市販車ヴァルキリーをベースにした初めての耐久レーサーとなる。車両開発には、F1への参戦で培った「複雑な知識ベース」が活かされる。最終的にはロードカーにも反映されるとストロール会長は言う。 アストン マーティン・パフォーマンス・テクノロジーズの技術責任者であるアダム・カーター氏は、「当社はヴァルキリーとともにスポーツカーレースのトップクラスに舞い戻る」とし、「パートナーとともに、このクラスのベンチマークマシンと肩を並べて戦えるポテンシャルと性能を備えたレースカーを提供できると確信しています」と述べた。 ヴァルキリーAMR-LMHは、車重1500kgのヴァルキリーAMRプロよりも軽量化される予定で、空力効率を可能な限り高めることに重点が置かれる。 コスワース製6.5L V12エンジンの今後の展開について尋ねられたカーター氏は、「絶対にないとは言い切れませんが、現時点では他に目処は立っていません」と答えた。このエンジンはヴァルキリー専用に開発されたもので、他のロードカーには搭載されていない。 カーター氏はまた、ヴァルキリーAMR-LMHの開発はアストン マーティンの電動化計画(長期的にEVへ移行)にも強い影響を与えるだろうと述べた。特に軽量化と耐久性においては大きな意味を持つという。 アストン マーティンがモータースポーツ、とりわけ耐久レースに参加する主な理由の1つは、高級ブランドであることとレースの名門ブランドであることの「相乗効果」を生み出すためだとされている。
ジョナサン・ブライス(執筆) 林汰久也(翻訳)