手軽に「ググる」はもうできなくなる?…米司法省がグーグルに「Chrome売却」を要求した本当の理由
■「検索エンジン選択画面」の導入 ---------- 5.競争を促進する仕組み ・グーグルの検索結果データ(インデックスやランキングシグナル)をライバルが利用できる形で提供。 ・10年間、グーグルの検索結果や広告の一部をサードパーティが利用可能にする。 6.競争の妨害行為を防止するための管理 (技術委員会の設置) ・グーグルの是正措置の履行を監視するために独立した技術委員会を設置。 ・コンプライアンスオフィサーの任命:グーグル内部に、是正措置の遵守を保証する責任者を設置。 (違反の防止) ・グーグルが裁判所の是正措置を回避したり、競争を妨害する行為をしたりした場合の罰則を規定。 7.ユーザー選択を増やすための取り組み ・グーグルブラウザやAndroidデバイスでの「検索エンジン選択画面(choice screen)」の導入。 ・選択画面を通じて、ユーザーが公平に他の検索エンジンを選択できる仕組みを確立。 8.独占禁止行為の監視と再発防止 (独立機関による監視) ・是正措置が効果を発揮しているか、定期的な評価を実施。 (期間) ・提案された是正措置は基本的に10年間適用される。 ---------- ■収益の多くは「広告」によるもの ポイントとなるのは検索エンジンだ。Chromeの裏では、グーグルの検索エンジンが動いている。ユーザーが他の検索エンジンを使いたければ設定を変えることもできるが、わざわざそのような面倒なことをする人はほとんどいないだろう。 グーグルの収益の多くは、検索サービスから得られる広告収入によって支えられている。ユーザーがChromeにサインインしてグーグル検索を使えば、グーグルはユーザーの行動履歴を簡単に追跡できる。検索サービスからユーザーのデータを得られれば、ターゲットを絞って広告効果を高めることもできる。検索は、収益に直結しているのである。 グーグルは、インターネットブラウザとして圧倒的なシェアを持つChromeを利用して検索エンジンをデフォルトに設定し、競合他社を排除する仕組みを強化しているというのが、司法省の主張だ。このようなグーグルの独占的な地位の乱用を禁止し、競合他社が公平にユーザーへアクセスできる仕組みを作り出すため、Chromeの売却が求められている。 同じ理由から、是正案には、「デフォルト検索エンジン契約禁止」も盛り込まれた。アップルやサムスンなど他社のデバイスやブラウザで、グーグルの検索エンジンをデフォルトに設定するよう、高額な契約を結ぶことを禁じるというものだ。 また、Chromeの売却だけでなく、モバイル端末向けOSであるAndroidに関する規制も提案されている。Androidはグーグルの検索エコシステムを支える中核的な要素技術であるとして、Androidを完全に分離・売却することが最も効果的な解決策として提示された。グーグルが事業売却を避けたいならば、Androidを利用して自社の検索エンジンを優遇する行為を制限するよう求めている。 さらにはグーグルが収集した検索データや広告データを、無償でライバル企業に共有するなど、グーグルのデータ支配力を弱め、競争を促進するようさまざまな要求を突きつけている。