クラーク記念国際が17安打で滝川工を圧倒!1年秋にトミー・ジョン手術の右腕が公式戦初登板初安打!
〈第61回春季北海道高校野球大会空知支部予選:クラーク記念国際10―0滝川工〉◇14日◇準決勝◇岩見沢市営 【トーナメント表】クラーク記念国際が属する空知地区の勝ち上がり センバツ出場のクラーク記念国際(北海道)が、春季空知支部大会2連覇に王手をかけた。先発した横手投げの新岡 歩輝投手(2年)が5.2回を1安打無失点の好投。打線は17安打の猛攻で10点を奪い、6回コールドで試合を決めた。1年生の秋に右ひじを痛めてトミー・ジョン手術(靭帯再建手術)を受けた藤井彩斗投手(3年)が6回表2死から公式戦初登板。打者1人を4球でレフトフライに打ち取ると、6回裏にはバットでも公式戦初打席初安打を左前に運んだ。 1年半ものブランクを、藤井がわずか7分で埋めた。6回表、高校に入って初めて公式戦のマウンドに上がると、深く沈み込むようなフォームから力一杯投げ込み、たった4球で相手打者をしとめた。その裏はトップバッターとして登場。3球目を弾き返すと、打球は三遊間を抜けた。「努力してきてよかった」。試合後の右腕が、実感を込めて言った。 一昨年秋の手術後から右肘を固定。昨年の明治神宮大会は記録員、3月のセンバツ甲子園では開会式で高校名のプラカードを持ち、ボールボーイ役を務めた。腕が全く動かせない時も走り込みやジャンプを繰り返し、下半身を鍛え続けた。今年1月にようやくキャッチボールができるようになり、今大会で背番号11をもらった。白取 太郎主将(3年)は「1年生の時よりも球速は上がっていますし、コントロールも良くなっていました。ずっと隣で藤井が頑張る姿を見ていただけに、刺激になります」と、同期の帰還を手放しで喜んだ。 この日は、入学から約1ヶ月の1年生2人が、ともに公式戦初出場で初安打を記録した。1学年下の新岡 歩輝投手が結果を出し、もちろんその上には、2年前に一緒に入学したWエースの左腕・山中 麟翔(やまなか・りんと)投手(3年)、右腕・辻田 旭輝(つじた・あさひ)投手(3年)がいる。夏に向けたベンチ入り争いは、激しさを増す。ボールを投げられない時、「お前なら必ずできる。あきらめるな」とLINEでメッセージを送り続けてくれた母・琴巳さん(43)の期待に応えるチャンスは、今大会と最後の夏だけだ。 「(ベンチに入れなかった)センバツまでは”チームが勝つためのサポートをする”という気持ちだけでした。夏に照準を合わせて、まずは真っ直ぐの強化、そこに変化球をつけていきたい」。残り3ヶ月、プレーヤーとして聖地のグラウンドに立つまで、絶対に”あきらめない”。