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トイレで生まれた「ムーミンの原型」誕生の島に残る作者トーベの面影 女の子ニンニが見せた意外な結末

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自分で考える大切さ トーベのメッセージ

トーベは、ペッリンゲで子どもたちとの交流も大切にしていました。当時、交流した人たちに話を聞くと、口をそろえて言うのが「『これはダメ』と言われたことがなかった」ということ。 ある住民は子どもの時に、お祭りでトーベが紙皿に絵を描いてくれることになりました。お世話になっている人の分ももらおうと、何度も列に並ぶと、トーベから「後ろにまだもらっていない子がいるわよね」と言われ、ハッとしたと。でも最後尾に並び直したら、快くもう一つ絵を描いてくれたんだそうです。トーベは、良い悪いの基準を押しつけるのではなくて、常に自分で考えさせるようにしていたのでしょう。

ムーミンパパのしっぽにかみついた女の子

誰かが良い悪いを決めるのではなく、自分が決める。そうした価値観は、ムーミンの世界の中でも表現されています。ムーミンの登場人物って、みんなどこか不器用だけど、自分で考えて答えを導き出しているんですよね。 たとえば、短編集「ムーミン谷の仲間たち」の中には、ニンニという女の子が登場します。 ある日、ムーミンやしきに連れて来られたニンニ。家でおばさんにいじめられたことが原因で、姿が見えなくなってしまったという。ムーミンたちと交流する中で、徐々に姿を見せ始めたが、顔だけはなかなか元に戻らない。 そして、最後の場面で、ムーミンパパの悪ふざけに、ニンニが怒りをあらわにした瞬間、姿を全て取り戻します。 『(中略)ニンニの見えない小さい歯が、ムーミンパパのしっぽに深くくいついていたのでした。(中略)「おばさんを、こんな大きいこわい海につきおとしたら、きかないから!」――「ムーミン谷の仲間たち」(講談社)』 もちろん、しっぽにかみつくのは褒められたことじゃない。でも、「しつけの良い子」になることがその人の個性ではなくて、何かあった時に怒れる、笑える。あなたがあなたらしく自由に振る舞ってこそ、本当のあなたになれる――。私たち大人も、はっとさせられるし、とても励まされるお話です。

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