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【1万字抜粋】AIにはない“自分の価値”とは? 尾原和啓『あえて数字からおりる働き方』

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新型コロナウイルス感染症の影響によって、働き方や生き方が激変した現代。 「会社に依存しない働き方がしたい」 「もっとつながりを作りたい」 「このままで終わりたくない」 そう考えるものの、一体何から始めたらいいのかわからない人も多いのではないでしょうか? マッキンゼー、Google、リクルートなど12社を歴任し、IT批評家として活躍中の尾原和啓さんは新著『あえて数字からおりる働き方 個人がつながる時代の生存戦略』(SBクリエイティブ)の中で「大事なことは、“他の誰かではなく、あなたに仕事を頼みたい”という、誰かにとって意味がある存在になることです」と話しています。 「誰かにとって意味がある存在」とは一体どういうことか。 自分の価値を高めながら仕事の幅を広げていくヒントを、同書より抜粋してお届けします。

これからは「実践」してきた者だけが生き残る時代だ

■肩書きやスキルがフォーカスされる時代は終わった 変化の速い時代になり、人の寿命よりも企業の寿命のほうが短くなりました。 年功序列や終身雇用が当たり前ではなくなり、「良い企業に勤めていれば安泰」という方程式が成り立たなくなっています。 世の中の変化が加速することによって、企業の寿命が個人の寿命より短くなれば、おのずと“肩書”の効力も落ちます。 これまでなら「東大出身です」「大手商社にいました」と言えばそれだけで信頼を得られる“肩書経済”や“肩書社会”だったはずが、これからは肩書よりも中身を重視する時代になるということです。 肩書やスキルだけで乗り切れなくなる時代においては、何を身につけるべきなのでしょうか。 それは、たとえ海外より価格が高くて、AIよりスピードが遅かったとしても、 ・あなたが好きだから ・あなたにしかできないから ・私のことをよく知っているあなたなら信頼できるから 「だから、一緒に仕事がしたい」と、顧客に思ってもらえる人材であることが望ましいでしょう。 たとえば、コールセンター業務にしても、緊急のトラブルシューティングや顧客トラブルなど、アドバイザーの柔軟性や専門知識の充実度、何よりも最後まで丁寧に対応する親切な人柄などが求められるシーンでは、やはり信頼度の高い人材へと仕事が集中するのです。 つまり、これからの時代における働き方で大事なのは、「あなたは誰にとって意味のある存在ですか?」という問いであり、その答えを持てる存在になるということです。 だからこそ、人間関係をベースとした、「あなたが好きだから一緒に仕事がしたい」というような信頼関係を築くことが、個人の働き方の主軸になっていくのだろうと僕は考えています。 ■「求められる人」は「お気に入りのカフェ」と同じ もっとわかりやすい話をしましょう。 あなたは気分転換のために、お気に入りのカフェで、500円の淹れたてコーヒーを頼みたいと思ったとします。 ただコーヒーを飲むだけなら、コンビニに行けば100円で、サイゼリヤに行けば何杯でも同じ価格で飲める。 それでも家から徒歩10分かかるカフェに行くのは、そのカフェでしか得られない心地よさがあるからです。 つまり「あなたが好きだから一緒に仕事がしたい」と思われる人とは、「お気に入りのカフェ」のようなものだと思っていただければいいと思います。 では、あなたのお気に入りのカフェの主人は、どうやってあなたを虜にしたのでしょうか? 店内を見渡してみてください。突き抜けるように高い天井、いつもかかっているレトロなレコード、窓から吹く風、揺れるカーテンのシックな色合い、沈むソファの座り心地。 一つひとつにカフェの主人の人柄が反映されているように思えませんか? つまりあなたは、カフェの主人が“ギブ”してくれた「心地よさ」や「信頼」に対して、500円を払っているともいえます。 これが、ただAIや格安サービスに、あなたが「信頼」で勝つ仕組みです。 ■これからは「肩書き」より「経験」を持つ人が強い 肩書や学歴の効力が落ちるとはいえ、やはり有名企業や有名大学出身者は強いはずだと思うかもしれません。 たしかに大企業での経験なら「信頼できる仕事を任されてきた実績がある」というひとつのタグになるでしょう。 有名大学なら「試験を乗り越えてきた信頼の蓄積がある」とみなしてもらえます。 ただし、かつてのように、肩書があるからなんでもOKの“スペシャルカード”ではなくなったのです。 これまでの時代における「学歴」は、「能力」を保証する資格として機能するものでした。 しかし、アメリカではすでに10代の若者が、大学に入ることなく、ネット上での活躍や、多数の人からの推薦が可視化されて、グーグルにスカウトされるようなことが起きています。 もはや学歴ではなく、本人の能力そのものが評価される時代がきています。 実戦のテスト中で勝ち抜いて実力が証明されていることを「バトル・テスティッド(BattleTested)」と言います。 プロジェクトの成功でも人柄でも「バトルテスティッド」なカードがたまった人は、ネットやソーシャルでの評判が高まりますから、より大きな舞台が提供されるチャンスが増え、より経験を積み、さらに大きな舞台を呼び込んでいくことになり、経験の拡大再生産を繰り返していくことができます。 人柄やスキル、経験というあらゆるカードがネットの中で可視化される時代になっても、“肩書カード”はある程度機能していくといえます。 しかし、ただ肩書が立派なだけではなく、肩書によってより多くの実戦をこなしてきた人材が信用されるのです。 そういった意味では、有名な企業や大学で経験を積むことは、チャンスにめぐりあいやすくなるメリットがあるともいえるでしょう。 しかし、「経験もなく」ただ立派な肩書があるだけでは、この先の時代を乗り切るのは難しい。 肩書に関係なく、必要なのは「経験」なのです。 自分の持つあらゆるカードで戦ってきた経験そのものです。 ■ゆうこすから学ぶ、実戦で経験を培ってきた事例 SNSの時代に、「錯覚資産」という言葉が出てきました。 端的に説明するならば、自分の実力以上に自分を高く、価値があるものに見せてしまう資産といえるでしょう。 肩書もそのひとつです。 しかし、これからの世の中、錯覚資産は、あくまでチャンスの幅を増やしてくれるものにすぎません。 それに、たとえチャンスが増えても「あなたと一緒に仕事がしたい」と思ってもらえなければ次につながりません。 これは、SNSのフォロワー数なども同じです。 フォロワー数は、てっとり早く「数」の錯覚資産を増やすのに便利な指標ですが、それだけで常に仕事を任されるようになるわけではありません。 たとえば、実戦で経験を培ってきたバトルテスティッドな人材は、“結果として”SNSのフォロワー数が多かったり、上場企業の社長の名刺を100枚持っていたりするかもしれませんが、彼らにとってこれらの「数」は手段であり、手持ちのカードの1枚にすぎないのです。 「数」や「肩書」などの錯覚資産そのものを追って、社長の名刺を100枚集めたとしても、それは100人の社長からの信頼を積み上げたわけではないので、努力の方向性としてはあまり意味がありません。 それは、フォロワー数を増やすのが目的なのではなく、結果的にフォロワー数が増えていくバトルテスティッドな人材の視点を見ればわかるでしょう。 たとえば、ゆうこすさんは、ツイッターやインスタグラムを更新する際、一つひとつの投稿において、どんな層の誰を喜ばせるために更新するかを、緻密に考えてポストしているといいます。 何歳くらいのどんな趣味を持った人から「いいね!」がついたか丁寧にチェックし、次に喜ばせたいターゲットを明確に描いてはポストに反映させています。 つまり、ゆうこすさんのSNSのフォロワー数は、彼女が自覚的に計算して実践した結果を振り返って積み上げてきたバトルテスティッドな「数」であり、言ってみれば、彼女のSNSを見てくれた人たちを喜ばせるためのギブを「受け取ってくれる相手の数」なのであって、単純に数だけ増やしているケースとはまったく異なるのです。 しかも、ゆうこすさんはSNSを通してフォロワーを喜ばせること自体が楽しくてやっているので、より自覚的に自分の勝ち筋を把握して、SNS運用をビジネスにつなげているといえます。

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