新たな明るい彗星候補「ATLAS彗星(C/2024 S1)」(A11bP7I)を発見
予測が難しい事には留意
ただし、彗星の明るさの予測は極めて難しいことで知られています。紫金山・ATLAS彗星も、「早期の核崩壊で明るくならないのではないか?」とする予測を著名な彗星研究家がしたこともあります。幸か不幸かこの予測は外れましたが、それほどまでに難しいということです。 ATLAS彗星も、新しい観測データが得られれば明るさの予測が全く変化するでしょうが、いずれにしても太陽に最接近する前後が勝負となります。例えば、やはりかなり明るい彗星になると予測された「ISON彗星(C/2012 S1)」が(※2)、太陽の最接近前に核が完全に崩壊してしまい、予想よりもずっと暗くなったことがあります。太陽に最接近する段階は、核崩壊などの物性変化が激しい一方、太陽がまぶしすぎるために観測データが得られない期間となるため、しばらくの間はATLAS彗星の明るさを予測することはできなくなります。 ※2…一部報道では、ISON彗星は満月より明るいマイナス17等級になるという予測もありましたが、これはかなりの過大評価であり、仮に核が崩壊しなかったとしても、最大でマイナス6等級にしかならなかったと予測されています。 仮に、ATLAS彗星が事前の予測通り、金星よりも明るい彗星となった場合、それは2024年10月下旬から11月上旬にかけて、明け方の空に現れ、南半球の方がやや観測しやすいと考えられます。一方で紫金山・ATLAS彗星は10月上旬から中旬に、夕方の空で観測できると考えられます。 Source Minor Planet Electronic Circular. “MPEC 2024-T22 : COMET C/2024 S1 (ATLAS)”.(Minor Planet Center) “New (relatively) huge Kreutz Sungrazer A11bP7I”.(Groups.io) Kelly Kizer Whitt. “Wow! Another one! Big new sungrazer comet could get SUPER-bright”.(EarthSky) Bob King. “Update: Comet Tsuchinshan-ATLAS Might Outshine Predictions”.(Sky&Telescope)
彩恵りり / sorae編集部