EV失速で世界「PHEVバトル」が始まった! 欧米&中国メーカーが続々と新型を投入
■PHEVを完全体にする燃料 そもそもの話になるが、PHEVは充電機能のついたハイブリッド車である。日常走行はほぼEVで賄え、遠出はエンジンを活用したハイブリッド走行が可能なのでEVのような電欠の心配はない。 とはいえ、ガソリンを使用するため「PHEVはEVが完全普及するまでの中継ぎカー」「長期的に見れば次世代のクルマはEVが大本命」「ガソリンを使うPHEVはエコじゃない!」などと指摘するメディアやSNSの声も。実際のところはどうなのか? 日系自動車メーカーのエンジニアはこう語る。 「例えば、ガソリンの代わりにカーボンニュートラル燃料を使用すれば環境問題はクリアできます。そうなるとPHEVが脱炭素カーの主役に躍り出ることも考えられます」 カーボンニュートラル燃料は将来的な話ではあるが、決して絵空事ではない。実は今年5月、トヨタ、出光興産、ENEOS、三菱重工業がクルマ向けのカーボンニュートラル燃料の導入および、普及の検討を開始したと発表済み。 「すでに4社は30年頃の導入に向けての議論をスタートさせています。ただし、カーボンニュートラル燃料を普及させるにはオールジャパンで取り組む必要がありますし、技術面を含め課題は多い」 カーボンニュートラル燃料は、ザックリ言うと2種類ある。水素とCO2を原料とする合成燃料(eフューエル)と、CO2を吸収した植物などを原料としたバイオ燃料だ。ちなみにマツダがバイオディーゼル燃料の研究に注力しているのは有名な話である。そして普及に向けた大きな動きがあった。 「9月28日にENEOSが神奈川県横浜市に日本初の合成燃料を一貫製造する実証プラントを完成させました。この合成燃料は既存のガソリン車にも使えます。 今後の課題は1L当たり300~700円というコスト面ですが、合成燃料はガソリンと同じ液体なので、現状のガソリンスタンドの設備を活用できるのもポイントです」(日系自動車メーカー関係者) 失速したEVから次のフェーズに移行を始めた脱炭素カー。ニッポン勢は、この過熱する世界PHEVバトルを勝ち抜けるのか? 観測を続けていきたい! 取材・文・撮影/週プレ自動車班 写真/時事通信社 写真提供/日産自動車