お酒とともに知的な会話を、「アカデミックパブ」が若者に人気 表現の自由狭まる中国
気づかないふり?
学術的なパブやバーの流行が勢いを増すなか、知識人のために生まれたばかりのこのような公共圏の将来について、SNSでは懸念が広がっている。中国は特に一連の文化的な弾圧を経て検閲が厳しい。 昨年、中国のスタンダップコメディーの現場では全国的にショーが中止となり、一時的に活動が停止した。これは、ある芸人が軍隊を取り上げたネタをめぐり、軍に対する「激しい侮辱」とみなされ、当局が所属事務所に対して多額の罰金を科したためだった。今年に入っても、ある芸術家が10年以上前に制作した政治的な批評を含んだ彫刻をめぐって拘束されている。 ネットにおける愛国主義者の声もSNS上で言論を取り締まる強力で非公式な存在に成長した。そうした人々は、ブロガーや記者、有名な料理人、さらにはノーベル賞受賞者も追跡し、中国を軽視しているとみなされる発言や行動に対して責任を追及しようとしている。 こうした傾向は大学の教室にも広がっており、学生たちは党の正統性に沿わない考えを明らかにした教師を通報している。これは、政治的な忠誠心が教育者に対する文化的な尊敬よりも優先されることが多いことを示唆している。 国家建設に関する講義を「大胆だ」と考えるリャンさんは、こうしたアカデミックパブでの集まりは大好きだが、最終的には規制に直面するのではとみている。 ハーバード大のレイ教授は「これほど厳格な統治が行われる国では、人々が自己検閲を行い、自分自身の言葉や他人の言葉を政府の視点から精査するのが当たり前だ」と指摘する。 6月以降、北京で数十回におよぶ集まりを主催しているジャンさんも、話題を選別する考えは認めたが、詳細については明らかにしなかった。 香港中文大学のカン・シチン助教は「これらのイベントは本質的に組織的な集まりではないため、今のところ安全だ」と述べた。 国家の行使能力について研究しているカン助教は上海のパブでの最初の講演で、「お酒を飲みながらの交流」をテーマにした社会科学の研究手法を紹介した。 「しかし、中国の文脈では、いかなる種類の集会も公共の安全に対する挑戦とみなされる可能性がある」とカン助教。アカデミックパブの流行の将来について、「全ては誰かが彼らを標的にしたいかどうかにかかっている」と指摘した。