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偶然ではなく必然に。松波正信が考えるガンバ大阪アカデミーの「意識改革」

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footballista

長年クラブを支えてきた上野山信行氏や鴨川幸司氏といった指導者が2019シーズンをもってクラブを去り、大きな変革期を迎えたガンバ大阪アカデミー。そうした状況の中、キーマンとなるのが強化とアカデミーの責任者を務める松波正信強化アカデミー部長兼アカデミーダイレクターだ。今シーズンオフには横浜F・マリノスから坪倉進弥氏、クラブOBである明神智和氏をアカデミースタッフとして招へいするなど着実に変革は進んでいるように見える。クラブのレジェンドとして選手・監督も経験した松波氏が考える今後のガンバ大阪アカデミーの在り方とは。

チャレンジすることによってさらなる発展を

――上野山さんの退任や、鴨川さん、梅津さんと長くアカデミーの中心を担っていた指導者がいなくなり、今年はアカデミーに大きな変化が起こりました。まず、変化の理由を教えてください。  「僕もガンバから一度外に出て、2018年に帰ってきました。外では違うクラブも含めて、いろいろと触れさせていただいた。そんな中で、上野山さんが作ってきたガンバのサッカー、スタイル、指導法はベースとして今もあるのですが、それをもう一回、モデルチェンジではなくブラッシュアップして、育成のスピードを上げるためにはどうしたらいいか。そういう思いが、僕の中ではありました」 ――そのための策の1つが、坪倉さんの招へいでしょうか?  「僕自身、彼が一度、ベルギーから帰ってきて、横浜で研修会があった時に話をさせてもらったんです。その時の印象があり、育成年代の指導歴も長く、ベルギーに1年行って個人の育成に関する経験も積んでいる。それを取り入れたいな、というのはありました。もっともっと個の育成、というものに特化していかないといけないのかな、と感じていたので。僕も1、2週間はヨーロッパのクラブを回ったりもするんですけど、実際1年ぐらい行かないと、いいことも悪いこともわからない。そういう経験を坪倉自身がしてきた、というのは1つ大きい。ガンバが育成をスピードアップさせる上で必要な人材じゃないか、と思いオファーを出しました」 ――ガンバ大阪のアカデミーと言えば、これまでも個の育成に長けている印象がありましたが。  「飛び級を使い、少し背伸びさせた環境でチャレンジさせていくという方法は、上野山さんが大事にしてきたところで、それはすごく成長スピードに繋がりました。宇佐美(貴史)、家長、稲本(潤一)、宮本(恒靖)監督ら、海外に出ていく選手は出てきました。ただ、偶然ではなく、より必然に、もっとできるんじゃないかと。自由にやっておけば、個が育成されるか、と言えばそうじゃないと思うんです。環境、トレーニング方法、アプローチの仕方も構築していく中で、もっと世界に出ていける人材が育成できるんじゃないかと。将来的にはヨーロッパとかでやれるというのは一番だと思いますけど、まずJリーグ、ガンバの中で主力になっていく人材を育てる、プラス代表やヨーロッパに輩出する人材を育成していくということを、もう少し必然的にできるんじゃないか。そういう思いから『個の育成』というのを言葉にしています」 ――ガンバの育成スタイルに、欧州のスタイルを加えて育成スピードを速めたいという意味ですか?  「そうですね。ガンバの育成スタイルに欧州の強みを取り入れて育成スピードを上げていく。そのために外国人の指導者も考えましたが、やはり日本の文化や、環境のことも熟知している人材の方がより具体的プランと指導が促進されると思いました」 ――近年でも堂安律や食野亮太郎ら、ガンバのアカデミー出身の選手が20歳前後で引き抜かれ、ヨーロッパへ渡っています。そういう意味では、他のJリーグクラブと比較しても育成がうまく進んでいるように見えます。その中で、大きな変化を加えることにリスクは感じませんでしたか?  「ただ、J1に出場している20代前半の選手が少ないのが現状。リスクというより、育成スピードを上げて18歳から22歳の年代で試合に出場する選手を育成しなければと。リスクよりはチャレンジすることによってさらなる発展に向かうべきだとすごく思っていました」 ――2016年から若手育成のためにU-23チームがJ3に参戦したことで、若手が試合経験を積んで、そこからトップチームに食い込んでくる選手も出てきました。しかしそのU-23チームのJ3参戦は、今季限りで終了となります。そのことによって生じる、アカデミーを含めた若手育成の変化はありますか?  「18歳までに完成度の高い選手を育てていくことが重要になると思います。18歳でもJ2や他のJ1チームからオファーが届く選手であれば、期限付き移籍で経験を積ませることもできますからね。今までのようにJ3のゲーム環境だけあっても、デメリットもあるんです。競争もなく、試合に出られてしまう。トップなら競争があってつかみ取る、という部分と、J3では与えられる、という部分。ただ与えられるだけじゃ、ハングリーになれない。競争に勝ってこそ、トップになれる。試合に出られるだけでも、育成はできない。そこをメンタル的にどうコントロールするのか。大きな課題かなとやってみて実感しました」

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