中国の飲食店や料理に「相場」というものが存在しない理由
新型コロナウイルスの感染再拡大が懸念されている中国だが、食の多様化や高級化は猛スピードで進んでいる。中国人は飲食店を探す際、日本人以上に飲食アプリを活用しているが、そのアプリを使って、彼らはどんなジャンルの飲食店を探し、そこにどれくらいお金をかけているのだろうか?(ジャーナリスト 中島 恵) 【この記事の画像を見る】 ● 中国で最も利用されている 飲食アプリ「大衆点評」 中国で最も利用されている飲食アプリは「大衆点評」(ダ―ジョンディエンピン)という。日本の「ぐるなび」や「食べログ」のようにレストランを予約・評価できる飲食アプリだが、中国では観光やショッピング、娯楽などの情報収集や予約もでき、知らない人はいないほど有名だ。 私自身も中国にいるときはこのアプリをよく活用しているのだが、日本の飲食アプリと違うのは、中国ではメニューや座席数、価格帯、地図などだけでなく、投稿者が撮影した動画が豊富に掲載されている点、予約と同時に先払いも行える点、中国以外にも世界の1000都市以上に拠点があるので、海外でもこのアプリを使って検索できる点、などがある。 新型コロナの感染が拡大する以前、日本にやってきた中国人の多くが、このアプリを活用して、日本の飲食店を熱心に探していた。 昨今、中国では、どんなレストランが人気なのか?
私はスマホの位置情報を上海市に設定して飲食店を検索してみた。「美食」という項目を開くと、主に次のようにジャンル分けされている。 広東料理、四川料理、山東料理、海鮮料理、江蘇・浙江料理、湖南料理、北京料理、ウイグル料理、東北料理、農家料理、火鍋料理、韓国料理、日本料理、西洋料理、東南アジア料理、インド料理、バイキング、食べ放題、アフタヌーンティー、カフェ、麺料理専門店、焼き肉、中東料理、軽食・ファストフード、ベジタリアン料理……。 日本でも世界各国のかなりマイナーな料理まで味わえるが、近年、中国もだんだんそうなってきた。2014年ころから爆発的に伸びた海外旅行の影響で、外国料理の味を覚え、国内にも外国料理店が急増したのだ。 また、中国の飲食店の特徴は、国が広大であるため、国内料理のジャンルが日本よりもずっと多いことが挙げられる。中国には「四大料理」といわれる山東料理、四川料理、広東料理、上海(江蘇)料理があるが、これ以外に、浙江料理、安徽料理、湖南料理、福建料理などを加えて「八大料理」という場合もある。 ● 1位はなんと 日本料理店だった ここにはすべて挙げられないが、雲南料理、貴州料理、陝西料理など、ほとんどすべての省の料理もある。それらの料理項目をクリックすると、さらに細かく検索できる。例えば、江蘇料理という項目を見ると、日本人には馴染みが薄いけれど、中国では有名な南京料理、温州料理などがあり、それぞれ、上海市内のどこにそのレストランがあるか検索できる。 日本料理の項目を開くと、懐石料理、寿司、日本式焼き肉、天ぷら、日本式麺料理(ラーメン、そば、うどん)、鉄板焼き、日本式のバイキング、日本式の鍋料理、居酒屋……と細分化されている。 それぞれ、地区ごと、ジャンルごと、価格ごと、個室があるレストランごとにランキングが表示されている。ピンポイントで「上海市静安区の懐石料理で最も評価の高い店」を探すことも、アプリを使えば簡単だ。