渡り鳥サシバの生態解明へ 研究グループが奄美大島で調査 鳴き声と行動の関係調査
鹿児島県奄美大島に秋の訪れを告げる渡り鳥「サシバ」の生態解明に向けた調査が23、24の両日、宇検村であった。関西の野鳥研究者らでつくる「とりがくKansai」(小室巧会長)のメンバー9人が来島し、鳴き声と行動の関係を調べた。サシバは数種類の鳴き声を使い分けて互いにコミュニケーションを取っていると考えられており、関係者は「越冬地奄美での調査が進めば、謎めいたサシバの生態が分かってくるのでは」と期待している。
サシバは体長50センチほどの小型のタカの仲間。東北~九州地方で繁殖し、秋に南下して南西諸島や東南アジアなどで越冬する。奄美では冬鳥として9月下旬から4月頃まで見られる。2021年の調査では奄美大島で2千羽以上のサシバの飛来が確認され、国内最大の越冬地と分かった。環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類。 サシバに詳しい宇検村の写真家・与名正三さん(73)によると、近年個体数の激減で繁殖地では鳴き声を聞くことが少なくなっており、各地から多く飛来する奄美大島は生態の調査地としても重要。調査は村内5カ所であり、羽の模様や色で個体識別した10羽を中心に観察して鳴き声と行動を記録した。 宇検村では来年秋に国際サシバサミットが開催される予定。大阪府から参加した牛込祐司さん(44)は「越冬地と繁殖地ではサシバの行動がかなり違う。パターンを分析し、サミットで成果を発表できれば」と話した。