韓国・伊大統領が “四面楚歌”でも強気なわけ 非常戒厳で謝罪から一転「退陣しない」 明日弾劾採決
伊大統領は採決が行われる7日朝、国民に向けて非常戒厳による混乱について謝罪し、「政治的・法的責任を逃れることはしない」「自身の任期と今後の政局安定のための方策は、我が党(国民の力)に委ねる」などと語った。 しかし、野党はこの謝罪を受け入れず、同日夜、採決に踏み切った。結果は否決だが、野党は「通過するまで続ける」と宣言し、12日にも弾劾訴追案を提出した。 最初の弾劾訴追案の採決を前に「国民の力」は「弾劾反対」を党の方針として決めた。理由は明確だ。弾劾後の政局が保守勢力に不利になる可能性が高いからだ。 ■朴槿恵大統領が弾劾されたときの教訓 弾劾訴追案が通過すれば大統領の職務は停止され、3~4ヵ月以内に憲法裁判所が弾劾を判断することになる。弾劾された場合、野党「共に民主党」の李在明代表が次期大統領になる可能性が浮上する。 「国民の力」には、李代表に対抗できる有力な候補がいまだいない。弾劾に賛成して早期選挙を行うことは、野党に有利な結果になると踏んでいるようだ。そのため、このまま憲法裁判所の最終判決が出るまで時間を稼ぎ、李代表が大統領選挙に出馬できない状況を作る戦略を取るほかない。 そうする背景には、2016年の朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾がある。そのときは賛成した結果、「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)候補が有利になった。これを与党は「党史上最悪の判断ミスだった」といまだに後悔している。 12日午前、尹大統領は2回目となる国民向けの談話を生放送で発表。非常戒厳の正当性について説明した。 具体的には、野党による不当かつ一方的な予算削減の決定、北朝鮮および中国のスパイに対するより厳しい処罰を求めた法改正への野党の反発、今年4月に実施された国会議員総選挙における不正選挙疑惑の確認――を挙げ、「統治行為だ」として野党側が「内乱罪にあたる」とした主張を否定。「最後の瞬間まで闘う」と述べ、早期退陣には応じない構えだ。