【日本ダービー】ジオグリフ〝2つの不安〟を一掃!木村調教師が絶賛する「感動モノの回復力」
[GⅠ日本ダービー=2022年5月29日(日曜)3歳、東京競馬場・芝2400メートル] 果たして2冠制覇が可能な器なのか? 先週の第83回オークスでは、スターズオンアースがそんな懐疑派を黙らせる快勝劇を見せた。今週の第89回日本ダービーもまた構図は同じ。皐月賞馬ジオグリフには中間の上積み、血統背景に疑問の声が…。ならば先週、スターズオンアースの渾身2冠ルポを披露した藤井真俊記者に再び登場願おう。ジオグリフの“反発力”は本物だ――。
皐月賞後、対照的だった2頭
皐月賞の最後の直線。馬場の真ん中から抜け出したイクイノックスを、外から力強くかわして牡馬クラシックの第1冠を制したのはジオグリフだった。木村哲也厩舎による劇的なワンツーフィニッシュ。しかし、レース後には勝ち馬の強さをたたえる声と同時に、こんな声もまた聞こえてきた。 「次のダービーではイクイノックスが逆転するのではないか」 その理由は大きく分けて2つある。まずは「ローテーション」。皐月賞が今年2走目(マイナス4キロ)のジオグリフに対して、イクイノックスは昨秋以来5か月ぶりの実戦(プラス10キロ)だった。そして「血統背景」。ジオグリフの父が短距離で活躍したドレフォンなのに対して、イクイノックスは中長距離で実績を残したキタサンブラックを父に持つ。となれば、長休明け2戦目+距離に不安のないイクイノックスが、皐月賞でジオグリフにつけられた1馬身差を逆転する、との見立て。実際、皐月賞後の2頭の様子は対照的だったという。レースから2日後のことだ。 「馬服を脱がせたジオグリフを見ると、いかにも“走ってきたな”という体つき。脂肪が落ちてアバラが見え、やっぱりGⅠを勝つのは大変なんだなあ、と。ここからさらに“ダービーも頑張れ”とやっていかなければならないのは、葛藤のようなものすらありました。一方のイクイノックスを見ると、まったくしぼんでおらず、皐月賞のパドックで見せた黒光りする馬体をしっかり維持していました」(木村調教師) しかし…。3週間ほどノーザンファーム天栄に放牧に出ていたジオグリフが厩舎に戻ってきた姿を目の当たりにした木村調教師は言葉を失った。 「感動しましたよ。あれだけ走ったのに、これだけヘコたれることなく帰ってきてくれたのか…と。皐月賞前と比べても、さらに良くなってるくらい。以前より毛ヅヤが良くなり、自信を持っているような雰囲気でした。自分の今までの(調教師としての)経験を取っ払ってしまうというか…。馬って本当に素晴らしいなって思いました」