【ボクシング】井岡一翔、田中恒成、前日計量は一発パス。ともに必勝誓う
明日、大晦日に行われるWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチの前日計量は30日、午後1時過ぎに行われ、チャンピオンの井岡一翔(31=Ambiton)、ランキング1位の挑戦者、田中恒成(25=畑中)ともリミットいっぱい52.1キロで一発通過した。4階級制覇チャンピオンに3階級制覇チャンピオンが挑む注目の決戦、すべての準備が整った。なお、前座として行われるWBOアジアパシフィック・バンタム級タイトルマッチも、チャンピオンのストロング小林佑樹(29=六島)が53.3キロ、元WBC世界フライ級チャンピオンの挑戦者、比嘉大吾(25=Ambiton)が53.5キロとともにパスしている。 写真=決戦2日前、予備検診を受けた井岡一翔と田中恒成
「誰がチャンピオンなのか。明日、証明します」。そして井岡はこれまでの言葉を繰り返す。「ボクシングのレベルの違いをお見せします」。その表情はふだんのまま、気負いの気配は一切ない。 「(気持ちは)いつもの試合ととくに変わりません」。すぐに愛妻弁当を食べるというが、「4キロかもう少しだけ、体重を戻したい。体重を増やしたからと言って、パワーがつくわけでもありませんから」。あくまでも普段着の戦いを強調した。 ちらりと強弁の気迫をのぞかせたのは、コロナ流行下の準備についてのこの一言だけ。「この状況のせいにして、やらなかったことがあったとすれば、それは逃げたことになります」。直前になって、チーフトレーナーのイスマエル・サラスも来日してきた。状況を言い訳にすることは一切ないと胸を張った。 田中もまず周囲の協力への感謝の言葉からコメントを始める。「畑中(清詞)会長は、(コロナ流行の影響を心配して)1ヵ月もジムを休み、自分専用にしてくれました。ほかにもいろんな人からサポートがありました。その分、チームは一丸になったと思います。あとは自分が一所懸命に戦うだけです」 井岡に勝てば、日本軽量級のリーダーとしての地位をとってかわることになる。飢えた心は、だから、もっときしんでいると言う。 「明日はビッグチャンスです。転機になる試合でもある。今、すごくレベルの高い日本のボクシング界を、自分が引っ張っていけるようになりたいですね」 井岡が連発する「レベルが違う」という言葉について問われると、一瞬だけ間をおいて、「そんなに気にしていません。オレ、自信をもってリングに上がるつもりです。自分の力を見せつけたい」。このフレーズには、はっきりと闘志がみなぎって聞こえた。 井岡の距離、間合い、ペースメイクはどこまでも緻密。その技術の総力を使って、囲い込みを図るに違いない。スピードで上回る田中が、厳しい包囲網をかいくぐり、総攻撃の口火を切ることはできるのか。パンチのひとつひとつ、展開の全景、そのすべてに意味がある。迫真の戦いになるのは間違いない。
ボクシング・マガジン編集部