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持続化給付金や感染防止協力金の「課税」に「なぜだ!」と反発の声…仕方ない?

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税理士ドットコム

国や都道府県による対コロナ支援金として各種給付金や協力金が相次いで打ち出されています。気になるのは、給付金などの中に課税対象になるものとならないものがあることです。受け取る側からは「給付金といいながら税金で回収していくのか」という反発の声も聞こえてきます。給付金などへの課税は厳しすぎる措置なのか、あって当然の措置なのか、検討しました。(ライター/拝田梓) ●非課税になるのは法律で決めたものだけ 国税庁は[「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取り扱いに関するFAQ」](https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/faq.pdf)という文書内で、コロナ対策で新たに創設された助成金などの課税関係について以下のような一覧表を示しています。 <国や自治体から支給される主な助成金などの課税関係> ◆非課税 【新型コロナ税特法が非課税の根拠となるもの】 ・特別定額給付金 (新型コロナ税特法4条一号) ・子育て世帯への臨時特別給付金 (新型コロナ税特法4条2号) 【所得税法が非課税の根拠となるもの】 ・企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の特例措置における割引券 (所得税法9条1項17号) ・東京都のベビーシッター利用支援事業における助成 (所得税法9条1項17号) ◆課税 【事業所得等に区分されるもの】 ・小学校休業等対応助成金 (従業員) ・小学校休業等対応支援金 (個人事業主など) ・雇用調整助成金 ・持続化給付金 ・東京都の感染拡大防止協力金 課税/非課税を国税庁が勝手に決めるのは当然許されず、根拠となる法文があるかどうかで判断されるわけですが、4月30日に施行された「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律」(新型コロナ税特法)で非課税とされているものもあれば、従来の法を根拠に課税されているものもあります。 新型コロナ税特法では、「特別定額給付金」および「子育て世帯への臨時特別給付金」の2点のみが非課税と定められました。 逆に言うと、法で手当てしなければこれらの給付金も課税対象となるのが本来の法の在り方、ということになります。 東京都は、感染拡大防止に向けた協力金については非課税措置とするよう4月15日に国へ要望。都産業労働局担当者によると、国税庁とのやり取りの上、協力金については「法令に則ると、所得税や法人税の計算上、収入金額や益金に加える必要がある」と回答を得たそうです。 なお、国には各自治体から同様の問い合わせが多く寄せられており、地方自治体担当者宛にリーフレットを配布。課税対象とならない給付金(学資として給付される金品)、なる給付金(減収補填)について改めて国の見解を示しているとのことです。 ●課税しないと「公平感」が損なわれる 協力金などが課税対象になるとした理由について、国が「事業者間の公平性を保つため」と見解を示した旨が報道されていますが、なぜ非課税にすると事業者間の公平性が損なわれるのでしょうか。 伴洋太郎税理士事務所の伴洋太郎税理士は、「『営業努力で100万円売り上げたお店』は課税されて『休業して100万円の協力金を受給したお店』が課税されないとしたらそれは不公平でしょうということです」と解説します。 具体的には以下のようなことです。 経費が同額の4つの事業者があるとします。 給付金・協力金が課税対象になる、とは A:売上200/経費160→40が課税対象 コロナの影響があまりない事業者 B:売上140/経費160→赤字で納税なし コロナの影響があるが協力金などの対象とならない事業者 C:売上100+協力金100/経費160→40が課税対象 協力金などの対象となるがあまり売上が減らない事業者 D:売上50+協力金100/経費160→赤字で納税なし コロナの影響大で協力金などをもらっても赤字の事業者 給付金・協力金が非課税、とは A:売上200/経費160→40が課税対象 同じ収入のはずなのにCの方が手取りが多い… B:売上140/経費160→赤字で納税なし うちは協力金をもらえなくて苦しいのに… C:売上100/経費160→赤字で納税なし 現金はあるけど赤字で税金払わなくて済んだ D:売上50/経費160→赤字で納税なし Cとうちが同じ協力金なのはおかしい… 協力金などは一律給付ではなく、例えば都の「感染拡大防止協力金」の場合、休業するよう都道府県から要請がありそれに協力した事業者に給付するという要件があります。自主休業しても給付されません。 要件に合致せず、しかし売上は減少した事業者(AやB)から見れば、協力金が非課税な事業者の方が納税せずに済んだ分手取りが多くなっていることで、公平感が損なわれるわけです。 また、協力金が課税対象であれ、実際に課税となるのは最終的な損益が黒字の企業のみです(AやC)。協力金を受け取った上で黒字が出る事業者であれば、すなわちそれは担税力があると見ることはできます。 ●10万円の定額給付金が非課税でも問題がない理由 その一方で、 ・給付金や協力金をもらいなんとか食いつなぎ、販路を拡大してぎりぎり協力金・給付金分だけ黒字になったから課税されたという事業者 ・全てを休業し協力金を受け取り、その後立て直しが上手くいかず、経費は掛からなかったが協力金だけが残った事業者 が一番泣きを見る、という解釈もできます。 中小企業が給付を受けた100万円分だけ黒字となった場合、100万円×15%=15万円の課税となります。 ただしこの場合、見方を変えれば給付金・協力金がなければ課税されないものの現金は手元に残らず、給付金・協力金のお陰で85万円の現金が残ったことになります。 国民に一律給付される10万円の特別定額給付金は非課税となっていますが、「協力金などと特別定額給付金が異なるのは、経費を控除できるかどうかという点です。協力金を100万もらっても、同額を経費で使えば差し引きゼロで課税されません。 いっぽう特別定額給付金をもらっても、生活費は経費にできませんので、10万円がまるまる課税対象になってしまいます。生活費で使ってしまって手残りが無いのに、です。だからこそ特別に非課税としているんです」と伴税理士は解説します。 日本の税制では、経済的利益はみな課税対象となります。そこを「非常時だから公平性が損なわれるのもやむなし」と覆す場合、特別に法を整備するしかなく、政治マターとなります。 税金はないに越したことがない、払わないで済むなら払わずに済ませたい、でもせめて払うなら公平に――が庶民の願いとすれば、非課税とするには幅広く十分な理解を得る必要がありそうです。

弁護士ドットコムニュース編集部

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