豊後大野市千歳町出身の洋画家、幸寿の記念館オープン
「狂女シリーズ」を描いて特異な画風を確立した大分県豊後大野市千歳町出身の洋画家幸寿(ゆき・ひさし)(1911~2003年)を顕彰する幸寿記念館が6日、同町下山にオープンした。町内で高齢者施設を運営する二ノ宮春光さん(75)が飲食店の建物を改装した。開館を記念し、同記念館と市千歳公民館で生誕110年展を開いている。無料。 幸は製糸工場の長男として生まれ、早稲田大中退後、独学で絵画を学んだ。精神科病院に住み込んで制作に励んだこともあり、鬼気迫る表現が注目を集めた。代表作「狂女」は1974年に東京国立近代美術館に買い上げられている。 旧千歳村が96年に幸寿美術館を整備したものの、町村合併などの影響で2011年に閉館した。 市は幸から寄贈を受けるなどして125点の作品を所蔵しているものの、公開される機会がほとんどなかったという。地元出身の芸術家にいま一度スポットを当てようと二ノ宮さんが動いた。記念館の広さは約160平方メートル。
110年展は実行委員会(15人)の主催で代表は二ノ宮さん。記念館には幸が20代の頃に描いた作品など25点を並べた。公民館では狂女シリーズなど60代以降の20点を展示している。二ノ宮さんは「作品を寄せてくれた幸さんの思いを無駄にしてはいけない。郷土の宝を多くの人に知ってもらうことで、町おこしにつなげたい」と話す。 記念館は中九州横断道路千歳インターチェンジから車で3分ほどの県道沿い。 110年展は公民館が12日まで(開館時間は午前9時半~午後4時)、記念館は4月5日まで(同午前10時~午後3時)。大分会場として1月12日まで大分市要町のコトブキヤ駅南店ギャラリーでも開いている。問い合わせは二ノ宮さん(TEL090-4342-7241)。