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『金曜ロードSHOW!』の対照的な2作 『打ち上げ花火』と『聲の形』にみる日本アニメの姿

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リアルサウンド

 毎年、夏休みシーズンになると『金曜ロードSHOW!』(日本テレビ系)ではアニメ映画が放送されている。近年は特にスタジオジブリ作品や新海誠作品など特定の監督の作品が多かった印象だが、2020年は『聲の形』と『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』(以下、打ち上げ花火)が、ラインナップに入った。それぞれ2016年、2017年に話題を集めたアニメ映画であり、京都アニメーションとシャフトという、特に2000年以降多くアニメファンから支持されたスタジオの注目作だ。今回はこの2作から、日本アニメの魅力についてあらためて考えていきたい。 【写真】広瀬すず演じる及川なずな  この2社が描いてきたアニメ像は、ともすれば真逆な印象を持つのではないだろうか。写実的な表現を丁寧に積み重ね、登場人物の仕草やふとした行動に、時には実写以上にリアリティを感じさせながら、言葉にならない細かな感情を観客に提示する京都アニメーション。そしてアニメが絵である特性を最大限に活かし、時には既存の表現から激しく乖離し、抽象画のような強烈な個性を感じさせながらも、独自のポップさが癖になり観客の心を掴むシャフト。天衣無縫と奇想天外とも言える、この両者の目指す方向性が全く異なる表現は、日本のアニメの幅を大きく広げた。  では『聲の形』から“京アニらしさ”について考えていこう。大今良時の原作を映画化した作品だが、過去に『らき☆すた』などで聖地巡礼ブームを巻き起こしたスタジオらしく、岐阜県大垣市を舞台にするにあたり、徹底的なロケハンを重ねている。また繊細な人物描写以外でも、光や花火などのエフェクトや、傘やノートなど様々な道具を効果的に使うなど、細かな演出を重ねていくことにより、感動的な作品を生み出している。  一方で『打ち上げ花火』は岩井俊二の同名ドラマを原作とした作品だ。過去のシャフト作品は『化物語』シリーズなどに代表されるように、言語化するのが難しいような独特な映像表現が行われてきた。背景1つをとっても幾何学的であったり、現実に存在する風景を描くというよりは、世界中のどこにもないような世界をあえて作り出すことで、アニメでしか表現できない外連味を味わわせてくれる。  それは『打ち上げ花火』でも健在だ。序盤は日本のどこかにありそうな海辺の町並みが広がるが、物語が進むにつれて徐々に水彩画のようにボヤけて変化していく。このことにより、ifの世界が徐々に拡大していき、幻想的な風景となっていく感覚に包まれるはずだ。馴染みがない方は面食らうかもしれないが、今作はむしろそのシャフトらしい変化が大人しく感じられたほどで、代表作の『魔法少女まどか☆マギカ』とまでは言わないまでも、もっと異質な世界を見せてほしいと思ったほどだ。

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