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[ニュース分析]新規確定感染100人が10日続けば首都圏の病床いっぱいに

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ハンギョレ新聞

[コロナ第2波「警告音」、最前線の公共医療を緊急診断] (1)公共病院が1次阻止線  今月だけで50人台が5回 大田でも集団感染拡大の様相 京畿の公共病院など、病床確保に苦心  安城病院、重症患者用の陰圧室設置へ ECMOなど設備や人手が不足 「この際、長期的投資すべき」

 「今すぐに重症患者を入院させられる病床は、京畿道には一つもない」。  イム・スングァン(京畿道COVID-19緊急対策団共同団長)京畿道医療院安城(アンソン)病院長は最近、病床の心配で毎日やきもきしている。2日前までは京畿道に5つあった重症患者が入院可能な病床が、18日には0になった。京畿道医療院などの感染症専門病院に指定された公共病院では医療資源が不足しているため、重症患者の病床は全面的に上級総合病院に頼らなければならない。同氏は数カ月間、民間病院を自ら訪ね歩き、重症患者を受け入れてくれる病床の提供を頼んで回っている。  19日午前0時までの24時間で、国内で59人の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染者が新たに確認され、このうち42人が首都圏での発生だった。首都圏での感染拡大傾向は落ち着く気配がない。1日当たり50人以上の新規感染者の確認は今月だけで5回目だ。そのうえ、首都圏を飛び越えて大田(テジョン)にまで流行が拡散している。18日までの大田の訪問販売業者や教会の集団感染の累積確定感染者数は25人にのぼる。  5月末から首都圏で感染者が急増していることで、COVID-19流行の第2波を防ぐ「1次阻止戦」たる公共医療システムにも過負荷がかかり始めている。首都圏の公共病院のあちこちから悲鳴が上がっている。これを受け、中央災害安全対策本部(中対本)は17日、首都圏の病床などの医療資源を緊急点検する会議を開いた。首都圏で使用可能な重症患者用の病床は48床(17日現在)に過ぎない。最近、高齢の患者が増えたことで危篤や重症の患者も27人に増え、重症患者用の病床の確保に赤信号が灯っている。一般病床も十分ではない。首都圏の感染症専門病院に確保された1769床のうち、空いているのは959床だ。首都圏で新規感染者が1日に100人確認されることが10日続いただけで、残りの病床は埋まってしまう。  「これ以上患者を受け入れられない状況」。18日現在、仁川市(インチョンシ)医療院で治療を受けているCOVID-19患者は110名。先日、感染者が確認され「コホート隔離」された療養所の25人の高齢者まで加わった。仁川市医療院感染内科のキム・ジニョン課長は、「当院で見られる患者の最大値がほぼ埋まっている。病床も飽和状態だが、すでに医療スタッフがみな疲れ切っている」と話した。わずか1カ月前までは10人あまりだったCOVID-19患者は、富川(プチョン)クーパン物流センターの集団感染などにより、10倍以上に急増した。  仁川市医療院は、一般の手術や入院患者を受け入れないことで生じる損失を甘受し、病床を丸ごと空けた。民間病院なら不可能だったはずだ。「パンデミックという戦争状況においては、民間病院は弾丸1発でいくらか計算しなければならないが、公共病院という資源はすべてを注ぎ込むことができる」。仁川市医療院のチョ・スンヨン院長は、COVID-19危機の局面における公共医療システムの役割をこのように例えて説明した。感染症専門病院の大半は、仁川市医療院のような公共病院だ。  1日の新規確定感染者数が50~100人の時に作動する「首都圏危機対応段階別共同対応方式」はすでに限界に達している。各地方自治体が病床を個別管理するため、仁川で病床が埋まってしまっても、ソウルや京畿道に患者を送ることは難しい。中央事故収拾本部(中収本)と国立中央医療院が主導し、患者を分類して病床を割り当てる「危機対応第3段階」は、1日の新規確定感染者が100人以上ではじめて稼動する。そうなってからではもはや手遅れだ。COVID-19患者の平均入院期間は25~30日ほどで、既存の病床が空く速度が遅いことを考慮すれば、3月初めに大邱(テグ)で2千人以上が自宅で「入院待機」していた最悪の状況が再現される恐れがある。首都圏の人口は大邱の10倍を超える。これまで耐えてきた公共病床と公共医療人材だけでは「第2波」を乗り越えるのは困難だ。  「ここは今、第2の大邱になりかかっていると思います」。今月4日、仁川市医療院の陰圧室前で会ったナ・ヘギョン看護師長は疲れ切っているように見えた。7つの陰圧室があるこの病棟には、肺炎にかかったり酸素治療を受けたりしているCOVID-19患者たちが入院している。「重症患者なので検査も多いし、大小便や廃棄物の処理まですべて終えるには、レベルD防護服を着て陰圧病棟に入り、2時間以上かかります」。気候が蒸し暑くなるにつれて防護服は汗でびしょ濡れになり、ゴーグルには白く湿気が満ちる。3交代で働く看護師は10人だけだ。  重症のCOVID-19患者の治療には、軽症患者に比べ3~4倍の数の医療スタッフが必要だ。ところが、公共病院にはこのような資源が絶対的に不足している。ECMO(エクモ)治療などを行うだけの医療設備や人材が揃っていないためだ。仁川でも高齢者や重症患者はキル病院や仁荷大学病院が見ている。問題は、こうした上級総合病院は民間病院であるため、政府や自治体が公共病院のように「勝手に」動員することはできないということだ。今月5日に中収本が行った「COVID-19首都圏感染者大規模発生時の病床共同活用模擬訓練」で、仁川市は重症患者用の病床を91床と報告した。この91床は、キル病院と仁荷大学病院に入院している一般の重症患者をすべて他の病院に移送し、病棟を空けることを前提とした数字だ。COVID-19拡散に備えた病床資源管理がどれほどいい加減かを示す端的な例だ。  公共病院だけでは手に負えない重症患者治療に民間病院が協力する方法はある。最近、安城病院は、5億ウォン(約4420万円)をかけて、陰圧移動設備を備えた重症患者の隔離病床を15床準備している。全国の療養所の30%ほどが集まっている京畿道の特性上、高齢層の集団感染に備えるためだ。イム・スングァン院長は「首都圏に重症患者があふれた時、公共病院の病床を活用し、民間病院の医療陣や軍医などの派遣を受け、重症患者を治療しようと中収本に提案した。総合病院の重症患者室を空けるには5~7日はかかるが、その間に大邱のように病院に行けずに死亡する人が出ないようにしようという趣旨」と説明した。  ソウル大医学部のキム・ユン教授(医療管理学)が分析した資料によると、今年3~4月にはCOVID-19患者の78%が公共病院で治療を受けた。韓国の公共病床の割合は全病床の10%(2018年現在)で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の最下位圏だ。それも国立大学病院の病床を除けば5%台に下がる。その5%の力で首都圏のCOVID-19大流行を必死に防いでいるわけだ。  この機を、文在寅(ムン・ジェイン)政権の国政課題だった「医療の公共性の強化」を具体的に実現する「ゴールデンタイム」とすべきとの声も高い。キム・ユン教授は「流行の第2波に備えるためには、公共病床の拡充を含む公共病院への投資が長期的に行われるべきだ」と指摘した。COVID-19の診療により公共病院が抱え込まなければならない「善意の赤字」問題の解決や、感染内科のような「金にならない」必要不可欠な医療サービスへの投資、公共医大の設立、公共病院への予備妥当性調査の免除などが細部課題として挙げられる。国立中央医療院のチョン・ギヒョン院長は「公共医療の強化は公共病床の規模だけでなく、地方の医療不平等、高齢化などともつながっている重要な問題だが、政治的動力を得られずに『構想』止まりとなってはならない」と強調した。  実際に、COVID-19を機として公共医療に対する国民の認識は肯定的なものとなっている。国立中央医療院が18日に発表した成人1000人に対するアンケート調査の結果によると、「医療サービスは公的資源」という考えに同意する割合はコロナ以前(22.2%)の3倍以上(67.4%)となったことが分かった。反対に「病院は営利事業」という回答は47.4%から7.3%へと大幅に減少した。 ファン・イェラン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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