日産CFOに北米トップのパパン氏-マー氏は退任し中国担当に
(ブルームバーグ): 日産自動車は11日、新たな最高財務責任者(CFO)に北米日産の社長を務めるジェレミー・パパン氏が就任するなどの役員人事を発表した。幹部の担当を見直し、経営再建を急ぐ構えだが、識者からは厳しい声も上がっている。
発表によると、現在のスティーブン・マーCFOは退任し、中国マネジメントコミッティの議長に就任する。発表資料によると、パパン氏はかつて投資銀行に在籍し、日産やルノーとの企業連合(アライアンス)でも財務や戦略、事業開発などの分野で経験を重ねてきた。
パパン氏の後任には元日産で欧ステランティスの幹部を務めてきたクリスチャン・ムニエ氏が就任する。また、チーフブランド&カスタマーオフィサーの星野朝子氏が日本・アセアン地域担当の兼務を解かれる一方、中国マネジメントコミッティ議長の山﨑庄平氏が星野氏の後任として同地域のマネジメントコミッティ議長に就任する。人事はいずれも2025年1月1日付。
日産は中国や米国での販売不振に伴い今期(2025年3月期)営業利益を下方修正し、生産能力や人員の削減を柱とする再建策を発表。市場からは判断を誤ったとして経営陣の交代を求める声も上がっているほか、アクティビスト投資家の株式保有も判明しており、今回の人事でどこまで刷新感が打ち出せるか不透明感も漂う。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の吉田達生シニアアナリストは、今回の人事について「抜本的な変更というよりは、暫定的な変更で当座をしのいでいく体制」との見方を示した。業績低迷の責任を負うべき内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)が続投し、CFOのマー氏が中国担当への異動では「責任の所在が明確になったとは受け止められないだろう」と続けた。
内田社長は今回の役員人事について、「会社を再び軌道に戻すための取り組みに必要とされる経験や緊急性を鑑みて行った」とコメントした。内田氏は先月の会見で迅速な意志決定で再建の取り組みを進めていくため1月と4月に経営体制を変更する方針を示していた。