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リビングは1階と2階、どっちがいい? 一級建築士がメリット・デメリットを解説注文住宅の間取り

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ダイヤモンド不動産研究所

戸建て住宅のリビングを1階にするか2階にするかで、暮らし方やライフプランは大きく変わります。間取りを検討する際に最初に直面するリビング問題を、どのように考えるべきでしょうか。(株式会社かえるけんちく代表・一級建築士 船渡亮) 【図解】「日当たりがいい家」の定義とは?  家を建てる際には、まずはじめに検討するのが「リビング」です。現在、戸建て住宅のほとんどは、1階リビングで設計されています。公式なデータではないですが、私が2019年にコンサルティングした一世帯2階建ての戸建て住宅のうち、なんと83%もの住宅が1階リビングとなっていました。  ただ、3階建て住宅や二世帯住宅の場合は、2階リビングになることはよくあります。また、最近では都市部の住宅において2階リビングを採用するケースも増えているようです。それぞれの特徴から、どちらがいいのか考えてみましょう。

2階リビングを選択する大きな理由は「日当たり」と「眺望」

 2階リビングの住宅が増えたとはいっても、やはり一世帯2階建て住宅の場合だと、1階リビングが主流だといえます。では、どういった住宅が2階リビングを選択するのでしょうか。まずは、2階リビングの特徴を知っておきましょう。 ■2階リビングのメリット・デメリット・日当たりや眺望を確保でき、開放的な空間がつくれる ・耐震性が高くなる傾向にある ・床上浸水の場合でも生活を維持できる ・バリアフリー化しにくい ・玄関からリビングまでの距離が遠くなる ■2階リビングにした方がいい立地とは? 2階リビングにはこうした特徴があることから、2階リビングを選択する住宅の多くは、日当たり(特に南側)と眺望に恵まれていない敷地にあります。このような敷地で1階リビングにしてしまうと、冬場の日中は、太陽光を期待できません。  日当たりが悪い敷地でも、吹き抜けを設置すれば、1階リビングまで太陽光を確保できる場合もありますが、吹き抜けを作った分、部屋に使える床面積が減ってしまうというデメリットがあります。   ところが、そうした日当たりの悪い敷地でも、第一種低層住居専用地域なら「北側斜線」という高さ制限のおかげで、2階リビングにすれば、確実に日当たりを確保できます。そのため、日当たりが悪い敷地に立つ家であれば、2階リビングを選択したほうがいいということになります。 ■「日当たりが良い」の定義とは? 誰しもが、なるべく日当たりの良い家に住みたいと思っています。ですが、敷地の都合上、充分に自然光が入らないというケースも、もちろん存在します。せっかくのリビングなのに日当たりが悪いと、暮らしにくいですよね。  「日当たりが良いリビング」の私なりの定義は、「冬至の南中時(昼間の12時前後)にも、太陽光が入る」ということです。冬至の南中時、太陽高度は30度になります。第一種低層住居専用地域の場合、南側の建物から6メートル以上離れていれば、日当たりは確保できますので、これを満たせるように設計すればいいのです。  ところが、この基準を満たせるかどうかは、設計担当者にチェックしてもらうのが一番正確なのですが、残念ながら日当たりを検討してくれる住宅会社は少数なのが現実です。  とはいえ、日当りが良ければ、部屋も明るいし光熱費も安くすみますが、それがすべてではありません。 「西側に海があるので、眺望を重視して西側にリビングを配置したい」という人なら、南中時の日当たりにこだわる必要はないですね。私たちは、その敷地でどんな暮らしをしたいのか? ということを大事にして間取りを検討すべきです。  日当たりに関する詳細は、以下の記事を参照ください。 【関連記事はこちら】注文住宅で間取りを決める前に知っておきたい! 失敗しない間取りの基本5つのポイント ■眺望・開放感・プライバシーが確保できる 2階リビングにすると、隣家が迫っていても空が見えるので、1階リビングよりも眺望が確保できます。眺望に関しては、敷地の中央に立って、この家に住む間、ずっと眺めてもいいと思えたらOKです。  また、屋根の勾配に合わせて天井に傾斜を持たせる「勾配天井」にすると、開放感のあるリビングを演出することもできます。勾配天井は吹き抜けより増加する体積が少ないので、暖房への負担を少なくできます。  リビングに連続する広いルーフバルコニーも2階リビングならではです。道路や近隣からも見えにくく、歩行者からの視線を感じることがないので、ビニールプールで遊んだり、日なたぼっこをしたりなど、第二のリビングとして活用できます。  なお、2階に浴室や洗面脱衣室を計画すれば、バルコニーでの洗濯動線が短くなるため、家事負担を少なくできます。私も18年間家族の洗濯を外干ししていますが、2階リビングのおかげで非常に楽をさせてもらっています。 ■耐震性が高く、床上浸水にも対応しやすい 耐震等級2、3を取得するには、通常よりも多くの耐力壁が必要です。特に1階は、2階を支えているため必要な壁量も多くなります。  トランプタワーをイメージしてみてください。上にいくほどトランプの枚数が少なくても安定します。  1階リビングの場合、必要な壁量が多いため、開放的な空間をつくる場合には、壁配置を工夫しなければなりませんが、2階リビングは必要な壁が少ないので無理なく間取りを作れます。しかも1階には、夫婦の寝室や子供部屋が配置されるので自然と間仕切り壁が多くなり、耐震性も高くなります。  また、近年は、気候変動の影響による台風や大雨の増加で、床上浸水が増えています。2階リビング・浴室・洗面室の場合、1階までの床上浸水であれば、2階で生活が維持できます。  ハザードマップでの浸水予想が2メートル以上になる地域で建てる場合には、2階リビングを検討するか、家を建てること自体を見直した方がよいかもしれません。

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