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オリーブ油の成分が大動脈解離を抑える分子機序の一部を解明

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 東京大学は2020年7月8日、血管内皮細胞から分泌する脂質分解酵素がオレイン酸を作り出し、大動脈解離を抑えることを明らかにしたと発表した。同大学大学院医学系研究科 教授の村上誠氏らと山梨大学の研究チームによる成果だ。  栄養素として摂取された脂肪酸は細胞膜に取り込まれ、必要に応じてリン脂質分解酵素ホスホリパーゼA2(PLA2)の作用によって、リン脂質から遊離される。研究グループは今回、この遊離された脂肪酸代謝物と大動脈解離との関連を調べた。  まず、マウス大動脈における分泌性PLA2(sPLA2)分子群を網羅的に解析した。その結果、sPLA2-Vが、大動脈の血管内皮細胞に高発現していた。全身性および血管内皮細胞特異的にsPLA2-Vを欠損させたマウスに、大動脈解離の主要因の1つとされるアンジオテンシンII(AT-II)を投与すると、数日のうちに胸部上行大動脈解離が高率で発症した。  また、sPLA2-V欠損マウスの胸部上行大動脈では、AT-II刺激によって、細胞外マトリックスの主成分であるコラーゲンやエラスチンの架橋を触媒する酵素リジルオキシダーゼ(LOX)の発現誘導が優位に低下した。sPLA2-V欠損マウスの胸部上行大動脈では、リン脂質からのオレイン酸とリノール酸の遊離が減少していることがリピドミクス解析により明らかとなった。  一方、培養系の研究から、オレイン酸やリノール酸が、細胞外マトリックスの構築を促進する因子として知られるTGF-β1による小胞体ストレスを抑制することで、LOXの発現を増強することが分かった。  sPLA2-V欠損マウスに高オレイン酸食または高リノール酸食を与えると、大動脈で低下していたLOXの発現が正常レベルに戻り、大動脈解離の発症が完全に抑えられた。  これらの結果から、血管内皮細胞のsPLA2-Vはオレイン酸やリノール酸の遊離を介してLOXの発現を増強し、細胞マトリックスの架橋を高めることで大動脈壁の脆弱化を防ぐことが明らかとなった。  オレイン酸を主成分とするオリーブ油を使った地中海食が動脈疾患の予防に役立つといわれるが、その分子基盤は不明であった。また、大動脈解離には簡便な動物モデルが存在せず、発症機序はほとんど解明されていなかった。今回の研究成果は、大動脈解離の新規予防や治療法の開発につながることが期待される。

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