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バレたら「3倍返し」! コロナ雇調金不正受給が横行中

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コロナの影響で経営が悪化した企業を救済する「雇用調整助成金(雇調金)」に、思わぬ火種が燻(くすぶ)っている。 雇調金は、経済上の理由で事業者が従業員を休ませる際、休業手当に要した費用を助成する制度のこと。通常時ならひとり当たりの支給上限額は日額8330円だが、コロナ不況に伴う特例措置として、上限額が日額1万5000円に引き上げられた。 4月以降、雇調金の申請は急増し、支給件数は約73万件、支給額は累計8600億円超まで膨れ上がっている。給付業務を担う厚生労働省の担当者がこう漏らす。 「4月以降は特例措置として審査を簡素化し、スピード重視で給付を行なっているため、不正受給の恐れが高まっています。現時点で不正は確認されていませんが、7月頃から『○○社が不正受給している』といったタレコミは日に日に増えています。 ただ、今は受給申請を処理するだけで現場は手いっぱいで、疑わしい事業者への調査にまで手が回らないのが実情。昨年度の不正受給は11件でしたが、今年度は爆発的に増える可能性もあり、現場は戦々恐々としています」 全国に店舗を展開する居酒屋チェーンの社員は、「ウチはグレーです」としつつ、こんな内情を明かした。 「弊社では4月に9割の店を一時閉店し、大半の社員を休ませたタイミングで雇調金の給付を受けることになりました。休業していた店は6月上旬に営業再開しましたが、全社員の3分の1ほどは現在も表向きは休業扱いで、休業手当を満額でもらっている。 しかし、実際は彼らも休んでいるわけではなく、人手が足りない店へのヘルプや清掃作業、撤退が決まった店の食器の梱包(こんぽう)や設備の搬出といった作業に従事しています。 そんな社員たちは、会社から『君たちはあくまでボランティアだ』と言われ、直属の上司からは『このことは家族にも絶対に言うな』とクギを刺されています。ヤバい感じはしているのですが......」 この事例について、雇調金制度に詳しい社会保険労務士の専田晋一氏がこう話す。 「店舗へのヘルプや閉店作業は通常業務ですから、完全に"クロ"だと思います。コロナの影響がとりわけ深刻で、切迫度の高い業界や企業ほど、不正受給に手を染めやすい構図にあるといえます」 では、不正受給はいかにして暴かれるのか? 同じく社労士の北見昌朗(まさお)氏が解説する。 「感染拡大が落ち着けば、労働局が抜き打ちで立ち入り検査を実施するはずです。出勤簿だけでなく、パソコンの操作履歴や休憩時の弁当の注文数、社員への聴取など、かなり厳格な検査が行なわれるため、そこで不正の証拠が出ることは少なくありません。 また、実は解雇された社員など、社内からの情報提供で発覚するケースも多い。会社や上司に不満を持つ社員は必ずいるものです。労働局もそれを当てにして、通報専用の電話番号やメールアドレスを設置しています」 不正受給が発覚した企業はどうなるのか? 前出の厚労省担当者がこう話す。 「通常時なら雇調金の全額返還に加え、返還額の20%相当額などを追加で支払う必要がありますが、コロナ下の特例措置ではこれが厳格化され、全額返還にプラスして『返還額の200%相当額』の支払いが命じられます。つまり、受給額の3倍の額の返還が必要ということになります。 さらに向こう5年間、雇調金を含む雇用保険料を財源とするすべての助成金の受給が禁じられる上、悪質な場合は事業者名や不正の内容が公表されることになります」 コロナ不況は深刻だが、不正に手を染めた企業には倍返しどころか「3倍返し」のキツいしっぺ返しが待っている。 取材・文/興山英雄 写真/時事通信社

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