海の“厄介者”を旨い肴に! アイデアと技術で躍進する兵庫・姫路の老舗水産会社 世界向け事業も展開
兵庫県南西部の南側、瀬戸内海東部に位置する播磨灘。その豊富な海の幸が集まる「姫路市中央卸売市場」(姫路市白浜町)は、2023(令和5)年に内陸の手柄地区から臨海部の白浜地区に移転しましたが、1957(昭和32)年に全国で15番目の中央卸売市場として誕生して以来67年間、播磨地域の食文化を支える拠点としての役割を担い続けています。 【写真2枚】海の“厄介者”が、旨い酒の肴に変身! そんな中央卸売市場の開設とともに創業した水産会社には、今や海外を見据えた事業を展開するまでに成長した企業もあります。昨年“海外事業部”を設置したのが、同市場の荷受機関として農林水産省から認定を受ける「丸魚水産株式会社」。世界を視野に入れた取引を開始したといいます。海外事業部の三木拓真さんに、その取り組みについて詳しく取材しました。 ☆☆☆☆☆ 全国各地の水産物を取り扱う同社。「日本の水産物の良さを、国内だけでなく海外の方にもよりよく知っていただこうと、昨年6月に海外事業部を立ち上げました」と三木さんは話します。 具体的な活動としてインドで行われた展示会への出展を挙げ、「インドでは銀鱈(ぎんだら)がよく好まれているんです。展示会では銀鱈の漬けが大人気で、会場下のレストランの方にどんどん焼いてもらっていました」と海外での評判を語りました。 また海外事業部では、独特なアンモニア臭から市場にもあまり出回らず国内で“厄介者”とされている「アカエイ」を活用した製品を販売しています。 三木さんは「アカエイは危険な毒針を持ち、水揚げをする網に入り込んでしまうと網を壊してしまいます。さらには、近年少なくなってきている国産アサリなど二枚貝の食害被害も、このアカエイが関わっています」と説明。ネックとなっているアンモニア臭を発生させない独自技術を開発し、焼きヒレやみりん干しの製品化に至ったといいます。 同社では技術開発にも力を入れており、グループ会社で既に成功した例も見られます。 昨年、播磨灘産の牡蠣(かき)を扱う株式会社播磨灘に養殖部門を設置し、卵を持たない“三倍体”と呼ばれる牡蠣の養殖を開始。今年2月に東京で行われた「牡蠣-1(カキワン)グランプリ」で、生食部門初代グランプリに輝きました。他にも、牡蠣の種である種苗の生産を実施。地産に貢献できるよう取り組んでいるといいます。 水産物の流通を担い、世界の需要や未利用魚の活用、それに伴う技術の開発など、様々な取り組みを行う丸魚水産。創業70年を控えて発展し続ける背景には、今求められることを敏感にキャッチし、挑戦し続ける行動力があることがうかがえます。姫路から世界へ羽ばたく日本の水産物の、これからの可能性に期待が膨らみます。 ※ラジオ関西『谷五郎の笑って暮らそう』2024年11月24日放送回より (取材・文=洲崎春花)
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