【住之江ボートSGグランプリ】レジェンド今村豊さんはまな弟子にエール「英治、限界を超えろ!」
英治、限界を超えろ!優勝賞金1億円をかけたボートレースの頂上決戦、SG「第36回グランプリ」は19日、大阪・住之江ボートの12Rで行われる。昨年10月に現役を引退したボート界のレジェンド、生涯獲得賞金29億4000万円超えの今村豊さん(60)が昨年に続いてこの大一番を解説。悲願の優勝に挑む、まな弟子の白井英治(45)=山口=の背中を押した。 引退して1年ほどたちました。ボートに乗りたくならないかと言われますが、まったくそんなことありません。本当に今は楽。次のことを考えなくてもいいですからね。朝起きて妻に「ゴルフ行こうか」って感じで3日に一度のペースでゴルフを楽しみながら充実した毎日を送っています。 1年の総決算であるグランプリ優勝戦。強調したいのが舞台は冬のナイター、住之江。これが非常に特殊な条件なんです。海水よりも冷却効果の高い淡水の上に水深の浅いプール型のコース。夜は一気に冷え込みます。海水の下関や徳山で育った私にとってはこれが一番やっかいでした。 試運転は明るい時間帯にやることが多いのですが、ここで回転(の調整)を合わせては駄目。本番とは条件が違いすぎます。合わない原因は回転の上がりすぎ。気温が下がれば回転は速まり、プロペラの空回りにつながります。それをどこまで抑えられるかが鍵。ただ、逆に抑えすぎると足が落ちる危険性もある。その微妙なさじ加減が難しい。 あれは2017年、弟子の(白井)英治と同じ山口支部の寺田祥がそろって挑んだグランプリ(住之江)。私はシリーズ戦の方で一緒にいたんですが、調整に苦しんでいた2人に何度も「回転を抑えろよ」と助言しました。でも分かっていてもできない。やりすぎが怖いんです。 海水育ちで、まだ本当の抑え方を分かってない。だからこそ言うのですが、やりすぎぐらいでいい。一番正解に近いラインがあるとするなら、そこに近づいてもないと思う。今、私が英治に言葉をかけるとするならこれしかない。「限界を超えろ!」です。 もともと素性のいいエンジンですからうまく抑えられれば強力な伸びが付く。英治の攻撃力は魅力。ただし、水質が硬くインコースが有利な住之江。5号艇で勝つまではどうか。もしチャンスがあるなら3号艇の平本選手がまくりに出た時、外からのまくり差しがあるかでしょう。今年は応援に徹します。 ▼今村豊(いまむら・ゆたか)1961年6月22日生まれ、山口県山陽小野田市(旧小野田市)出身の60歳。81年5月デビュー。84年4月の笹川賞(現オールスター)で当時の最年少記録の22歳でSG初優勝。通算SG優勝7回。ダービーは87、88、90年と3度制した。2004年に公営競技初の獲得賞金20億円を突破。実働39年5カ月で出走回数8207回、1着2880回、優勝142回。生涯獲得賞金29億4144万6172円は松井繁に次ぐ2位。20年10月に現役引退。ボートレース殿堂入り第1号となった。クリーンなレースを身上とし、「ボート界のプリンス」「ミスターボート」と呼ばれた。
中日スポーツ