タバコ休憩は給料ドロボーなのか?(桐生由紀 社会保険労務士)
「タバコ休憩は給与泥棒じゃないんですか?」 先日そんな相談を受けました。 社員のタバコ休憩の回数が多く、1日に何回も行っているのに残業時間はきっちりつけるのは納得がいかないと。「非喫煙者はお昼休憩しかないのにずるい」と他の社員からの不平不満の声も出て困っているとのことでした。 タバコ休憩を頻繁にとっている人がいると、非喫煙者からすれば不満の対象になるのも無理はありません。このようなタバコをはじめとした休憩に関する社員同士の対立や不満は経営者にとっても「あるある」です。 そこで雇用の専門家である社労士の立場から、仕事中のタバコ休憩の扱いやタバコを吸う人と吸わない人が不満を抱かない対策について法的な視点から考えたいと思います。
■そもそも「休憩」とはなにか?
労働基準法で定められている「休憩」は、労働者が働く時間の合間に自由に過ごすことができる時間のことです。 休憩と言っても「自由に過ごすことが出来ない時間」は、休憩ではなく労働時間になります。例えば、お昼休憩中に交代で電話当番をする場合や接客業でお客様が来るまでお店で待機しているような時間は休憩ではなく労働時間と判断されます。 労働基準法で定められている休憩時間は「労働時間に応じた休憩時間」「働く時間の間にとる」「一斉に与える」「使い方は自由」という4つのルールがあります。 ●労働時間に応じた休憩時間 労働時間に応じて図の通り休憩時間を与える必要があります。 休憩時間の上限は定められていないので、上記以上の休憩を与えても問題ありません。60分の休憩を45分と15分など分割して与えてもかまいません。 ●働く時間の間にとる 休憩時間は労働時間の始めや終わりにとることはできません。 「休憩なしで働いて早く帰りたい」と考える人もいるでしょう。ただ、休憩は労働時間の途中にとる必要があるため、休憩なしで働いて早く帰ることはできません。 ●一斉に与える 休憩時間は一斉にとらせなければいけません。 ただ、仕事の都合に合わせて自由な時間に休憩を取っている方もいると思います。一斉に休憩を与えないことを約束する労使協定を結べば労働者の自由な時間に休憩を取らせることができます。この場合でも「働く時間の間にとる」というルールは守る必要があります。 ●使い方は自由 休憩時間は労働者が自由に利用できる時間です。 食事をとったり、昼寝をしたり、タバコを吸ったり、自由に使う権利があり企業が休憩時間の使い方を指示することはできません。 タバコ休憩も通常の休憩時間の中で行うことは問題ありません。休憩は「使い方は自由」というルールがあるためです。 話がずれてるように感じたかもしれませんが、冒頭に書いた「タバコ休憩」は本来の休憩時間とは別に「仕事中に職場を抜け出してタバコを吸う」ことを指しており、従業員全員に一律に与えられる休憩ではないため不平不満のネタになってしまうのです。